おとーちゃんが
入って行った
かも知れない
山に着いたのは

もう
夜の10を過ぎていた

駅を降りるとすぐ
ゲレンデが広がり

スキーやスノボが
沢山並んでいたけど

あまりの悪天候で
ナイターは中止
されていた

おかーちゃんは
おとーちゃんの
お母さんと
何回か
連絡の取り合いを
していたけど
電波状況が悪くて
切れてばかりいた



かえちゃん
多分あの
大きなロッジが
みんな居るとこ
らしいから
行ってみよ



おかーちゃんと
アタシは
駅から歩き出した
猛吹雪が
顔に当たって
痺れて痛い

ロッジの
入り口は広く
オレンジ色の明かりが
煌々と照らされていた

玄関先に
一人の女性の姿が
見える



今日は
呼ばれて来たので
追い返さないで
くださいね



おかーちゃんは
いきなり悪態をついた



あんたなんか
呼ぶつもり
なかったけどね!

………あんたしか
呼べる人いなかったよ

…!?
このお嬢さんは!?



私の娘の
楓です



アタシは
ペコッと頭を下げた



あ、あ、敦の子だね?
咲和さん!
そうだね?!



おかーちゃんは
頷いた



やっぱり!
分かるよ!
敦と…そっくりだ

なんで
今まで黙ってた?

ああ…
孫がいたなんてね……!



小柄な
おばあちゃんだった

その
おばあちゃんが
アタシの手を
ギュッと握って
自分のおでこにあてた



ご家族の方ですか?



ロッジの中から
救助隊の男性が
声をかけた



息子の
嫁になる人と
息子の子供です



そうですか!
ここは寒い
中でお話されたほうが
良いでしょう



アタシ達は
促されて
ロッジに入った