おっさんの店での初めの仕事は、予約の電話を取ることとホームページの更新だった。電話には、仕事にでている女の子からの連絡や、遅刻の連絡が来ることもあり、おれにとっては、まるでリハビリのような仕事だった。
だんだん、女の子とも普通にはなしができるようになった。愚痴や不満の聞き役になっていれば、女の子を傷つけずにうまくやれることも知った。
長い時間をかけて、自分のために働くこと、誰かを使って存在を実感するのではなく、働きを認められることで、自分に価値を見出すことができるようになった。
客が喜んでくれる、従業員や女の子が信頼してくれる。
自然と人と付き合えるようになった。
オレはその店が摘発される直前に、あさみと出会ったあの店の社長に引き抜かれるまで、そこで働いた。
もうキャバクラへ戻っても、間違わないと、思った。