診察した医者の話によると、今回の原因は酒ばかりであまり食べていなかったことによるものらしい。倒れた時に打ったらしい頭も検査の結果、異常はないとのことだった。
 
 医者の手短な話が終わり、何やら薬が出されるようだ。
 
 『ありがとうございました』

 こころにもないお礼を口にして廊下に出ると、見るからに危ないおっさんが近づいてきた。
 ぎらぎらのごついネックレスにサングラス、オールバック。

 昭和な雰囲気にも見えるその人は、どう見てもまっすぐオレに寄ってくる。
 ・・思わず身構えた。

 『そんなに怖がるなや。せっかく病院まで連れてきてやったのによ』

 オレの頭にはてなが浮かぶ。

 『なんも心配すんなや、大したことなくてよかったな』

 そのおっさんは、検査やらなんやらのせいで、やはりそこそこの値段になってしまった治療費を、さらりと払ってくれた。
 
 『かえさんでいいよ。その代わり、頼みがある』