病院で目覚めたオレの目に、薄緑色のカーテンが見えた。腕には点滴針が刺さり、そこから延びる点滴。
オレは焦った。
オレは保険に入っていない。病院は全額自費だ。その日ぐらしのオレに、高い治療費は払えない。
上半身を起こして人を探すが、誰も見当たらない。ナースコールもない処置室だった。大声を出すわけにもいかず、オレはあきらめて横になった。
『目が覚めて一番が治療費の心配なんて、わらっちゃうよな・・・』
うす笑いがこみ上げる。
そのうち、パタパタとせわしない足音が近づいてきた。カーテンが開かれる。
『起きましたかぁ?』
点滴の様子を見に来たと思われる看護師に声をかけられた。
『はい・・・』
『じゃ、ちょっとそのまま待っててくださいねぇ』
焦っているオレの気もしらず、のんびりした口調で看護師はそう言い、部屋を出て行った。