ゆめちゃんは話してくれた。

『バースデー前に、店長に毎日のように言われたんだ。

売り上げが百万いかなかったら、私のこと捨てるって。』


だから、ゆめちゃん、毎日青い顔してたんだ…


1日で百万なんて…


ゆめちゃんは続ける

『私、売り上げ百万でたの。
…店長、バースデー終わったあと、すごくやさしくて…

でも、それは、私が好きなんじゃない。売り上げが好きなだけだよね…』

私は返答に困った。

…なにも答えられない…

ゆめちゃんは関をきったように話し出す。

『今まで、おかしいって思ったことあった。

出勤を増やすと優しい。
指名が来ない日は、口をきいてくれない。

当欠した日は、うちまできて…

…私…無理やり…』



ゆめちゃんは声をあげて泣き出した。

前の電話のときとは違う。

なにかを洗い流すような涙の洪水。



今まで、つらかったんだろう。

好きっていう気持ちで
変だってわからなくなっていて、

気付いていても好きな人を信じたくて、

風紀だから誰にも相談できなくて

中村さんばっかりみて、私、きづかなくて

それでも、私のことを
中村さんもそうなんじゃないかって、
心配してくれたんだね。



声が震える。
『ゆめ氏、ごめん、ごめんね、気付かなくて…』


そこまで言うと、私は涙をこらえきれなくなった。

視界がぼやける。

ゆめちゃんの洪水はさらに勢いをました。



『ごめんね、ごめんね…』

私はそういいながら
ゆめちゃんに抱きつく。


抱き合いながらしばらく泣いた。