『あの、なんで…』

私が言葉を中村さんがかき消す。


『どこ行ってたんだよ!心配したじゃんか!!』


そして私を、さっきのように抱き締めた。
でもさっきとは違う、ひんやりした体。
夜になると冷えるこの時期、ずっと待っていてくれたことが分かる。


『…ごめんなさい』


頭ははたらいてなかったけど、私の口からはそう、言葉がでてた。


少しの間私たちは、そのままだった。


中村さんの体が少しずつ暖かくなるのを感じて、
私は中村さんを部屋へと案内した。


…迷いはあったけど、私のために待っていてくれた中村さんを追い返すことは

できなかった。