でも一応はまず学生の状況で鎬を削ってみたいという世間の大きさを感じる基礎だと思い直し、またチャレンジに向かったのだが、ショックを引きずっていた時間のぶん、始動が遅れた。



そして肝心の進学への意欲よりもコンテストへの出品のそれのほうが今は勝っていた。



「水鳥、あんた勉強してるの?」



「……してるよ」



「バイトもいいことだけど、勉強に差し障っちゃ意味ないわよ」



こういうお母さんとの会話がちょっと苦痛になってきた。



勉強って……両親はアートとは縁のない世界で生きてきた。だから、芸術系大学の入試の何たるやを理解していない。まあ、でもそうだよね。デッサンしか自信がないもんなあ。いくら一般科目の試験がヤワだっていってもそれなりの準備はしておかなきゃね。