私のその言葉に、深く納得したのか、レイチェルはそうか、とだけ言った。
「おいおいおい!有名人に対して、そういう反応はありなのかよ??」
 いちいち突っかかるなよ。あくまでも、彼女はリングスネークの娘。怒らせでもしたら、少しくらいの災いは必ず降ってくるんだから。
「ああ、もう。そろそろ耳障りだぞ」
 男口調にしては、なかなか高い声。かと言って、気持ちが悪いと思うことはなかった。
「くっそ!お前、フード被ってるからって、身元がわからない訳じゃなんだからな!!調べ上げたら、お前の顔だってわかるんだからな!」
 ジュラの言いようからして、どうやらレイチェルの顔を見たことはないらしい。まあ、私だって、彼女の顔をじっくり見たっていうわけでもない。
「ハッ。私を調べ上げるだと?笑わせるな。知らないようだから言ってやるが、私は自他共に認める、天才ハッカーだ。機械なんて、私の手にかかればイチコロだ」
 負けじと言い返しているレイチェルに、この言い合いが終わったら言ってあげたい。労いの言葉を。
「くずが!なんなら、お前の顔だけでも見てやる!!」
 ジュラがそう言い、なんとも速い動作で、彼女のフードをとる。
 そして、そこで
「..............................うわ..................」
 と、その場にいた全員が、思わず声を漏らした。