だが、私の場合は違う。
「悲しいな。脅さないと、依頼は受けないって思われてるんだね」
 少女の瞳を見据えながら、言う。そうしたら、少女はマカロフを下ろした。
「......依頼、受けてくれるのだな?」
 声は変わりなかったが、上目遣いで言う彼女に、可愛らしさを感じた。
「ええ。もちろん」
 口には出さずとも代わりの言葉を口にする。
 完全に殺気が消えた少女は、マカロフを懐に入れ、大人しく椅子に腰掛けた。
「ではまず、名前を」
 話を聴く上で、重要なことだ。
「...レイチェル・アン」
「........................アン.........?」
 衝撃で沈黙をつくってしまう。
「...?」
 心配そうな顔をする少女。
「...あ、ああ。申し訳ありません」
 いや、まさかね。だって、噂なんだし。
「単刀直入に言う」
 ...でも、もしかすると、レイチェルの殺してほしい相手って......。
「リングオールを、殺して」