「.........は...?」
 口をあんぐりと開けたのは、私だけじゃなかったようだ。
「惚れた。俺と付き合ってくれ」
 この空間での唐突な告白には、さすがのレイチェルもはてなを浮かべる。
 やがて
「いてっ」
 ビリーが、ジュラの頭に拳を入れた。
「お前、ちょっと来い」
 そう言い、ビリーはジュラを奥に引きずり込んで行った。
「...大変申し訳ありませんでした、お客様。スタッフの無礼により、不快に思われたことでしょう。埋め合わせは必ず致します。なのでどうか、本日はお引き取り願います」
 とりあえず営業モードに切り替え、帰るよう促した。
「あ、ああ。また来る」
 動揺しながらも、あっさり帰ってくれた彼女。
「ふぅ...」
 一息つき、あるところへ向かう。
「この馬鹿が!あの娘がどういう家柄かわかってんのか!」
 既に、ビリーがジュラに説教をしていた、喫茶店の厨房。
「...るっせ。俺だって、ちゃんとわかってるし......」
「あぁ?!聞こえねえよ!」
 普段紳士で温厚なビリーは、怒ると人格までもが変わる。端整な顔を歪ませ、不良のような怒り方をしている。