--カランカラン
 響きの良い玄関ベルが鳴れば、依頼人が来た証拠。
「いらっしゃい」
 私は、
「...お話、伺いましょうか」
 ここ、『永遠の探偵喫茶』の店長。
 真っ黒なパーカーを着て、フードをかぶっているお客様。フードのせいで分かりにくいけれど、恐らく女の子。それも、少女だ。見た限り、10代前半の幼さが残る少女。そんな子が、こんなところに何の用があるのだろうとは思ったが、私は少女に紅茶を出した。
 少女が少し俯いた拍子に、照明の反射で耳にキラッと光るものを見た。金色のピアスだった。まるで、『傲慢』を象徴したかのような、印象強い色だった。そんな色とは違って、紅茶を出しても、少女は口を開かない。
「あの...」
 と、私が言いかけたところで。
「ローナ・ドリサ。来てもらいところがある。大人しくしていれば、その体に傷が付くことはない」
 可愛らしい見た目に反し、近寄り難い雰囲気を醸し出させる声で、言葉を発す。それだけならまだ良いが、あろうことか、少女は懐から銃を出し、額に突きつけてきた。見る限りでは、マカロフだった。
「...これで、脅すつもり?」
 普通であれば、怯えるところ。