「あ、そうだ携帯」


坂木君は何かを思い出したように自分のポケットから携帯を取り出す。


「この携帯でみんなの位置情報を伝え合うんだ、後なにがあっても絶対人を殺したらダメって言っておこう」


さすが委員長の坂木君だ、こんな時にもクラスで団結することを忘れない。


坂木君は携帯でメッセージを送るが、なぜか送信できない。


「あれ、なんで送れないんだ?」


送れない原因を調べていると、携帯は学校内なのにも関わらず圏外になっていた。


「圏外?なんでだ…いつもは学校も使えるのに」


「私の携帯も圏外になってる」


香穂も自分の携帯を開くが圏外でなにも繋がらなかった。


私も携帯を取り出して見てみると圏外だった。


「みんなの携帯も圏外か、ダメだこれじゃ使い物にならない」


「携帯も使えないなんてどうなってるのよ…」


ガッシャーン!!


突然、なにか物が倒れた音が聞こえた。


私たちはびっくりして音楽室の扉の方に向く。


「なにがあったんだ」


「坂木君出ちゃダメだよ!!」


扉の方へ行く坂木君を私たちは全力で止める。


「でも、もしかしたら誰かが殺されそうになってるかもしれない!」


「だからって今出たら絶対危ないよ!!もうしばらくここにいた方が…」


「そうだよ!それに危ないから出ない方がいいって言ったのは坂木君でしょ?」


私たちがそう言うと、坂木君は廊下へ出るのをやめて私たちの方に戻ってくる。


「頼む…誰も死なないでくれ…」


坂木君が目をつぶり両手を握ってそう願う。


私たちも心の中で強くお願いをした。