「た、楽しみすぎて・・・ちょっと張り切って、しまいました・・・」

私の言葉にみちるさんは満足そうに「可愛いな~。こんな妹欲しかった!」と笑った。

メニューも決まり注文を済ませると少しばかりの沈黙があった。何を話していいのかわからず店内を見回す。

「ねえ、みひろちゃん」

お冷のコップを両手で包みながら、みちるさんは小さく私を呼んだ。

「さっき固まってたのはもう大丈夫?」

「あ、はい・・・」

気を使って明るくしてくれていたんだと気づいたら、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
お二人はただお茶に誘ってくれただけなのに。

「ちょっと、嫌なことを思い出してしまって・・・」

私はゆっくりとその時のことを話し始めた。
小学校の同級生から久々に誘われて遊びに行ったこと。
そこで知らない人が来て、同級生と二人で何かに入会するように説得されたこと。
入らないと帰り道に車に轢かれるかもと言われたこと。
堪らずに泣き出してしまったこと。
すごく怖かったこと。
その時の気持ちをさっき思い出して、二人もそうかもと思ってしまったこと。

全部を伝えた。

「お二人を疑ってしまってごめんなさい。こんな話聞きたくなかったですよね。本当に、もう昔のことなんですけどね」

笑って言いたいのに手が震える。私、ちゃんと笑えてるかな・・・?