ーーーーーーーーー春樹side



やべ、完全に飲ませすぎた…


テーブルに突っ伏したまま、声をかけても身体を揺すっても反応がなくなった咲妃乃


今日は元々お酒が強くはない咲妃乃にしては飲んでいた気がする
たしかに話は盛り上がったし、俺も楽しくてお酒が進んだ


腕の隙間からチラッと見える咲妃乃の顔


真っ白な肌に整った顔立ち
薄めの唇
閉じたまぶたにはキレイなアイシャドウが輝いている


やっぱ美人だよな、咲妃乃…


てかこんな無防備な姿、簡単に人前で晒したらマズイだろ
俺じゃなかったら襲われてるって。



「帰るぞ、咲妃乃」

「ん、んー…」



ダメだな、こりゃあ…
仕方ない、運ぶしかねえか…


お会計を済ませて、無理矢理に咲妃乃の肩を抱いて居酒屋を出る
咲妃乃の体重が一気に自分にかかってくる


スーツ越しにでも分かる彼女の細さ


普段ちゃんと食べてるのか?とか変な心配をしてしまう


居酒屋の目の前に停まっていたタクシーに咲妃乃を乗せる
その隣に自分も乗り、自宅の住所を運転手に伝える


ここから家まではそう遠くないが、俺もなんだか眠くなってきたと思っていたとき、不意に咲妃乃の頭が俺の肩に乗った


静かに寝息を立てる咲妃乃は少し可愛いなと思った


普段のバリバリ働いている彼女の姿はそこにはなかった


咲妃乃はやっぱりただの女の子なんだな、と改めて思わされる


肩に心地の良い暖かさを感じながら少しの間だけまどろんだ瞳を閉じた