走った先には海があった。

そして、あの日と同じように、薫が浜辺で座ってた。

俺はゆっくりと近づいた。

すると、薫は肩を震わせていた。

『いつも目を真っ赤にして帰ってくるの』

あのおばさんの言葉を思い出す。

「凌牙っ…」

その声は、あの暗闇で聞いたものと全く同じだった。

そんな声で呼ぶなよ。

「りょう…が…」

「何だよ」

薫がガバッと後ろを振り向いた。

その顔は、前よりも少し痩せていて、涙で濡れていた。

「…っう…そでしょ?」

薫は両手で口を押さえた。

「何がだよ」

俺は薫の隣に座わった。