そういえば、薫は今までのサークルの打ち上げに来たことがなかった。

いつもバイトだと言って…

「そういうことか」

「へ?」

「打ち上げ来ねぇのも、それ?」

「うん、」

「じゃあ、
何で今日は来たわけ?」

「さすがにノリ悪すぎるし、
凌牙とか、紘とかみんな行くじゃんっ?」

「だからって、
楽しめねえなら意味ないじゃん」

「楽しいもん」

薫が拗ねたように言う。

「ねえ、凌牙」

「ん?」

「ありがとね」

「何がだよ」

「嬉しかった。気付いてくれて。
ほんとは泣き終わったらひとりで帰ろうと思ってたし」

「お前、危ね~」

「だから、ありがとうっ。
『トラウマ』ちょっと消えたかなっ」

笑いながらそう言った。