「言いたくないならいいけどさ、
ひとりになんのは危ねえだろ」

薫はゆっくり顔をあげ、小さく頷いた。

ちらっと見ると目が真っ赤だった。

「トラウマがあって…」

「トラウマ?」

「こういうキャンプみたいなのが…」

「へえ~」

「こういうみんなが盛り上がるのってさ、自分が居なくてもいい気がしない?みんな周りが見えなくなって、必要とされてないことに気付かされるっていうか…」

「気付かされる?」

「普段はね?気付かないふりが出来るの。でもさ、こういう時ってどうしてもそうはいかないっていうか。何か、ね…」

「どういうトラウマがあるのか知らねえけど」

「うん、」

「俺、気付いたし」

「え?」

「薫が居なくなったの」

「うん、」