海の方に薫の姿を見つけた。

海の方に向かって体操座りで顔を伏せている。

「薫?」

そう話しかけると、薫がびくっとした。

「何やってんだ?」

そう言って横に行くと、体が小刻みに奮えていた。

まさか…
泣いてんのか?

薫は声を抑えながら顔をあげずに、

「ちょっと、飲み…
すぎちゃって」

と、明るい声で言う。

「はあ~、お前、
酒飲んでなかったじゃん!」

「飲ん…だもん…っ」

「どうしたんだよ?」

「別にっ!気分悪いだけ」

「そっか」

「は…やく、戻ってよっ」

「薫は?」

「私もすぐ行くから…」

「じゃ、一緒に行く!」