「じゃ、じゃあ、光太郎!お前が負けたらどうするんだよ」
学年4位の光太郎と、学年順位TOP10にも入ったことがない朝倉が、光太郎に勝つとは到底思えないけど。
もしも、奇跡がおこったら。
「…好きな奴に告るよ」
静かにそう告げた。
え…?
「光太郎、好きな人いたのーーー!聞いてないんですけどーー!」
あたしが叫んでも、中庭から出て行く光太郎から、答えなんか返ってこなかった。
「ねえ、…日菜子なら知ってる?」
振り返って尋ねると、日菜子に変な顔された。
怒ってるような…悲しんでるような、哀れんでるような、そんな感じ。
「芽衣って時々馬鹿だよね」
「え、どういうこと?」
「いや、鈍感なのか。…うん、ごめんね。芽衣は分かってないだけだもんね」
えっと、待って。
「あいつが、光太郎君が悪いだけだもんね」
待って、待って待って。
「ひなはいつでも芽衣の味方だよ」
「ちょっと待ってーーーー」



