「教室に荷物取りに行かなきゃ…」
独り言をぽつんと呟いて教室に向かう。
「あ、瑛二…」
どうしよう、瑛二に何も言ってない…
「ねぇ、先輩。今まで何してたの…?」
寂しそうな疑わしいような、そんな表情で私の腕を掴む。
「優子と、話をしてきた。」
「!」
「瑛二、優子が私の事好きなの知ってたんだね」
「…うん。これは流石に言えなかったから…」
「それでいいんだけど、なんで気付いたの?」
「いや、俺そういうの気付きやすいっていうか…。
なんとなく、あぁきっとこの人も先輩のことが好きなんだって思って。
告白、されたの?」
「そうだったんだ。
告白されたよ。ちゃんと断ってきた。」
「そっか…良かった」
瑛二はふわっと纏っていた緊張感を脱いだように表情を緩めた。
「あ!でも先輩!
用事あるなら言ってよー、カバンあるのにいないから心配しちゃった。」
「うっ、ごめんごめん。頭がいっぱいいっぱいで…」
「じゃあお詫びにキスしてよ」
瑛二は目を瞑って、ん、とキスをうながしてくる。
教室で…誰が来るかも分からない中で私からキス…
恥ずかしい。
けど…
ちゅっ。
「…先輩、絶対してくれないと思ってからびっくりした…」
「だって、お詫びだもん。
瑛二、顔赤いよ…?」
いつも通り、瑛二の顔は耳まで赤い。
この時の瑛二は最高に可愛い。
「うるさいよー、ほら帰ろ!」
今日はいつもよりも強く手を握って帰った。
互いが互いを好きだと改めて認めるように。
