ずっとこのままは嫌だよ。
お願いだから言うこと聞いてよ!私の体…
【如月李那side END】

【中矢裕side】
李那が目を開けなくなって1週間。
ずっと俺は病室に通い続けた。
1日ずつ交代で李那に声をかけ続けている李那の両親。
今日は親父さんが来ていた。
李那がこうなってから李那の両親は変わってしまった。
白髪も増えて憔悴しきっている。
多分、家でも休んでないんだろう。
気になった俺は親父さんに一言だけ挨拶して李那の家に向かった。
インターホンを押すと美那ちゃんが迎え入れてくれた。
美那ちゃんも目の下にクマが出来ていて、李那が心配で眠れてないのがわかる。
李那のお母さんを探して静かに動く。
…寝室にはいなかった。
と、すると残りは…
奈那さんの遺影のある、この和室のみ。
静かに襖を開けるとやっぱりお母さんはここにいた。
奈那さんの遺影に向かってブツブツ呟いている。
そーっと近づき聞いてみる。
「…奈那…
お願いだから…
…まだ李那を連れていかないで…
お願いだから…」
「…」
奈那さんの遺影は明るい笑顔で。
この人もこんなに明るい笑顔だけど、ALSで心をおられて自殺したんだって思うと目頭が熱くなってきた。
「…奈那…お願いだから…
まだ私たちから李那を取らないでよ…
…あなたにしてあげられなかったこと…
まだまだいっぱいある…
李那には…まだしてあげたいことが…たくさんあるのよ…」
奈那さんの遺影に向かい、ボロボロ涙をこぼすお母さん。
…もし李那が死んだら、どうなってしまうんだろう…
俺は和室から出て静かに襖を閉めた。
「…はあ…」
あの様子からして多分家事もやってないんだろうな…
ちらっと流し台を見るとやっぱり洗い物が貯まっている。
…少し、片付けてから行くか…
俺はカバンを置いて、洗い物を始めた。
「…あ、裕くん…」
「美那ちゃん、少し休んでて。」
リビングに入ってきた美那ちゃんは流し台にいる俺を見てすぐに手伝おうとしてくれた。
俺は美那ちゃんに笑顔を向けてあとすこしの洗い物を片付ける。
食洗機を2回に分けてかけ、まだ濡れてる部分を拭き取る。
…えらいゴミが溜まってる…
多分最初は料理してたけど、めんどくさくなったんだろう、コンビニ弁当のゴミが沢山あった。
俺はビニール袋にゴミを片付け、口を縛る。
ゴミ出しに行き、少し片付いたキッチンを見て簡単なものを作って帰る。
チャーハンとか簡単な物を。
少しでも体にいいもの食べてほしい…
【中矢裕side END】