わざわざこれを送ってこなくても…
「…久しぶりに楽しんだ気がする…」
…まあ、いろいろあったけど。
『今日は楽しかった。
色々あったけど、俺の告白は忘れてくれ。
明日からも宜しくな。』
俺から送るのはかなり久しぶりだ。
俺は李那からの返信を待った。
…おかしいな、もう寝てるのか?
時計を見ても8時。
疲れきってたからな、李那…
寝てるんだな。
…俺は自己完結して自分も寝ることにした。

ー朝。
…おかしい。
朝になっても返信来てない。
いつもならすぐに返ってくるのに…
「おはょ、母さん。」
「おはよう、蒼空。」
俺は母さんの作ってくれた朝ごはんを喉に流し込む。
「そう言えば蒼空、昨日の夜の救急車、知ってる?」
「ん?」
「昨日救急車鳴ってて、うちの前も通ったんだぞ。」
父さんも知ってるのか。
「事故かしら…怖いわねぇ…」
母さんや父さんの会話を右から左に流して俺は用意を始めた。
「…行ってきます。」
「「行ってらっしゃい。」」
俺は学校に行くため、家を出た。
「…眠い…」
…腹も痛くなってきたし…最悪だ。
あー、朝から李那のアホ話に付き合わされるのか…
「蒼空ー」
「おお、海澪。」
「おはよ」
「おはよ。」
自然と海澪と並んで歩く形になる。
いつもならここに李那と裕さんが合流するはずだ。
この角でいつも合流するんだけど…
…あれ?
「2人ともいないね?」
「先行ったのか?」
「さあ、とりあえず行くか。」
先に行ったのか、あとから来るんであろう。
そう思っていた俺と海澪。
だけど昼過ぎに裕さんが登校してきているのを見て、やっぱりおかしいと思った。
李那も携帯繋がんないし、今日は美那ちゃんも来てないみたいだ。
「…李那、風邪かな?」
「バカは風邪ひかないって言うのにね。」
「蒼空、酷い。」
李那がいないおしゃべりは静かだ。
いつもなら李那のマシンガントークや愚痴に付き合わされてるのに…
今日はいない。
委員長不在の教室。
いつもみたいに過ごしているけど、何か足りない…
李那がいないと、しっくりこない。
いつもしている黒板の落書きも。
あの席でいつも寝ている姿も。
号令の時のハキハキした声も。
いつもなら見れるあの笑顔も。
全部、今日はない。
何があったんだろう…