海澪と井上は互いに布告して離れた。
私は蒼空を連れて保健室に。
「…全く、無茶なことしてくれるな。」
「それ、お前が言えたことじゃねぇから。」
まさか蒼空があそこで海澪を庇うなんて思わなかった。
ーガラガラ…
「李那ー」
「お、海澪、裕くん!」
少し遅れて入ってきた2人。
あれから何があったか海澪から聞いた。
まず私と蒼空が出て行ってから。
「私、秀一の事話したんだ。
そしたら“そうだったの、それは申し訳ないことしたわ”って。」
彼氏がいないって思い込んでたんだね、あのアホは。
「彼氏がいないと思われていたらしくて、あんなことしたんだって。」
「へぇ…」
私は蒼空の顔を手当しながら生返事で答える。
「全く、傷が残ったらどうするつもりだったのよ」
「そん時はそん時だろ。」
切れているところを消毒。
口の端が切れていた為、絆創膏を小さく切って貼った。
あとは腫れてる所。
「くぅ〜…」
「間抜けやろう。」
多分、頬に貼った湿布が染みるんだろう。
蒼空は顔を歪めて痛そうになる。
「…ブッサイクな顔。」
「うるせっ」
蒼空終了。
ガーゼと湿布まみれの顔。
見えているところが少なすぎ。
「李那、お前もだろ、座りなさい。」
裕くんが私を見てニッコリ笑う。
「無茶ばっかりしやがって…」
「いったい…」
そっか、私も井上に殴られたんだっけ。
あんまり痛み感じてなかったけど、腫れてるんだな。
私は裕くんに手当してもらい、湿布と絆創膏を保健室から拝借した。
ポケットに突っ込んで、教室に戻る。
裕くんだけ別のクラスだから離れる。
普通に授業中だったけど、お構い無しに入っていく。
とりあえず席に座り、井上を見る。
私が殴ってあげたおかげで顔はアザだらけのキズだらけ。
…まあ、自業自得だよね。
ざまあみろって感じだわ。
私は授業が終わるまで寝て待った。
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
「…これ。」
李那の声がして振り向くと井上に湿布やガーゼ、絆創膏を渡していた。
「まあ、その顔、私のせいだし、せめての罪滅ぼし。」
李那はなんだかんだ優しい。
「…あ、りが、と…」
井上はパンパンに腫れ上がった顔で李那に礼を述べると教室から出ていった。
「李那っ」
「何?蒼空」
「なんでガーゼとか…」
「だって私が殴ったからじゃん?」