「李那。今日は帰ろう。
入院してないのに病院いるのも嫌だろ。」
「そうだね!美那、また来るよ〜」
「はーい!」
美那は私と裕くんを見送るために起き上がった。
「じゃあね〜」
私は美那に手を振って病室を後にした。

「ただいま〜」
「おかえり、李那。」
家に着いた私は部屋に戻る。
「李那、ご飯どうする?」
時計を見ると7時。
いつもの夕飯の時間だ。
「…うーん、今日はいいや。」
食欲が湧かない。
何も要らない。
別にお腹がすいてるわけじゃないし。
「そっか。お腹すいたら言ってね。」
「うん。ありがとう。お母さん。」
…お姉ちゃん…
お姉ちゃんもこんな気分だったのかなあ?
家にいる時でも笑顔だったお姉ちゃん。
私は携帯を取り出すと最近使ってるメモを開く。
この携帯に元々入ってたメモ機能。
私はこれを日記のように愚痴メモみたいに使ってる。
特に出来事のない時は使わないんだけど、今日みたいにブルーになると使う。
「…なんで、こんな病気があるんだろう。」
…どうして私がこんな目に合わなきゃいけないんだろう。
どうして…
もっと、陸上で走りたかった。
もっと、風を感じたかった。
今の体じゃあ言う事聞かないから走るなんて無理だ。
…今、何がしたいのかよく分からないまま生きてる。
目標なんてない。
つまらない人生。
私はベットから起き上がると日記を書きに行った。
日記と言っても裕くんと付き合ってる日数のカウント書くだけ。
だってそれ以外書き出すと止まらなくなるもん。
だから携帯の方に入れてるのに。
いつ見られてもいいようにしっかりメモしてるのに。
…いつまで動くんだろう。体…
…怖い。
今になって…
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
「でさ、蒼空。ここ。」
8月。
俺は裕さんと買い物に来ていた。
…こうなったわけを説明すると長い。
簡潔に言うと誘われた。
「蒼空、李那と仲良いだろ?俺より李那の趣味とか分かるんじゃね?」
…お分かりだろうか。
李那の誕生日プレゼント買いに来たんです。
「なんで海澪じゃないんですか…」
「連絡先知らないから。」
…ごもっとも。
「んで、これなんかどう?」
「…いいんじゃないですか。」
はあ…この人馬鹿なのかな?
って言うくらい天然だと思うこの人。
俺、李那のこと好きなんですけど?
「こっちじゃないっすかね?」
李那の性格的にこっちの色のが李那らしい。
今見ているのは…ピアスだ。
李那は既に左耳に穴が空いている。