『もしもし?李那?どうしたの?』
「お母さん、私、大会出てもいいかなあ?」
『え?』
お母さんに全て説明した。
さっきまでのことを。全て。
『…そういうことなら、いいんじゃない?』
「…」
『お母さん、李那が走ってるところ結構好きよ?』
「…そうなの?」
『何よりも走ることが好きでしょうがないって活き活きしてる顔。
あなたの体が鈍ってないならいいんじゃない?』
お母さんの言う通りだ。
私は何よりも走るのが大好きだ。
「…わかった、ありがとうお母さん。」
私は電話を切り、もう一度職員室へ。
小宮先生にも話をしに行く。
「…先生。」
「おお、如月!どうした?」
「…私…私…」
小宮先生には病気のこと話してない。
これも話さなきゃとおもいながらまだ話してない。
「陸上の大会出ます。
…その前にお話があります。」
「そうか!出てくれるか!
話?」
ずっと頼りにしてたはずの小宮先生。
まだ若くて陸上に熱心な大好きな先生だ。
「…私はALSです。」
「え?」
「知ってますか?こんな病気です。」
私はカバンの中からあの本屋さんで買った分厚い本を取り出し、先生に渡す。
「…難病じゃないか。
それでも前を向いている如月は強いな。
何か困ったことがあればいつでも相談乗るからな。」
やっぱり先生に相談して良かった。

その日から。

私は大会に向けて体力作りを頑張っていた。

陸上部の練習に復帰したり。

家に帰ってからは美那と一緒に走りに行ったり。

たまに風雅くんとも合流して3人で走っている。

美那は私の体を気遣いながらゆっくり目から段々早くしていってくれてる。

「…お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、まだ平気。」
「無理しちゃダメだよ?」
「分かってる。
陸上の大会でいい成績を残してチームに貢献したいんだ。」
私は短距離と高飛び。
裕くんは長距離と幅跳び。
そして男女混合リレー。
このリレーには私も出る。
私は裕くんからバトンを貰う。
アンカーだ。