「…早く戻ってくださいよ、元の関係に…」
「……」
裕さん、なんでそんな悲しそうな顔するの…
まさか戻らないつもりとか…?
「俺、李那が裕さんの話してる時の顔が好きなんですよ。
今の李那、全然笑ってないんです。」
「…だからといって、今の李那と今の俺が付き合えるわけがないだろ?」
…?
今の…?
どういう事だ…?
「…今度李那が走れなくなったあの大会があるんだ。
蒼空、頼みがある。」
裕さんが俺を見て泣きそうな顔で懇願する。
「…李那をその大会に連れてきてほしい。
俺の、本当の笑顔を見せるために。」
裕さんの本当の笑顔…?
やっぱり裕さんも心からは笑えてないんだ…
李那じゃないと、裕さんも笑えないんだ。
「…分かりました。必ず李那を連れていきます。」
「頼んだぞ、蒼空。」
俺は裕さんに一礼してジュースを持って李那達の所に戻った。
【更科蒼空side END】
【如月李那side】
…そんなやり取りが自販機で…
「だから李那、大会一緒に行こう?」
「…」
正直、行きたくない。
だってあの大会は…
私が走れなくなった大会でしょ?
「如月さん、古川さん、陸上の大会行くの?」
…出たよ井上世莉香。
「…何?」
「もし行かないなら私が蒼空くんと行くから。」
「…ぶっ…」
思わず吹き出してしまったじゃないか。
「な、何笑ってるのよ!
蒼空くんだって私と行きたいに決まってる!」
「どんだけ自意識過剰なんだよ。いい加減にしろ。」
あ、やば。
思わず素の私が出てしまった。
「さっきから聞いてれば。
蒼空があんたのこと好きだって?
へぇ、そう。…蒼空、あんたどうなの。」
ダメだ、ヤンキー時代の自分が止まらない。
「…俺、好きじゃない。」
「だってよ井上世莉香。
あんた上から目線すぎて周りに嫌われてんのわかんねぇの?」
どうしよ、海澪も蒼空も引いてる。
「何よあんた、殴られたいの?」
「殴れるもんなら殴ってみれば?
知らない?一年前までこの辺ナワバリにしてた一匹狼のヤンキー。」
…私は一年前までこの辺をナワバリにして暴れてた。
暴れてたって言ってもカツアゲしてる所を止めたりして、自分からは喧嘩売っては、いなかった。
「…もしかしてあんた…」
「思ってる答えが“霊狼”ならあってるね。」
最近呼ばれ始めた私の通り名。
裏社会では伝説として語られてるらしい。
急に現れて急に消えたからだと。
「まさか、本物?」
「うん、こう見えて昔けっこう暴れてたから私。」
まあ、奈那姉ちゃんの跡を継いだだけだけどさ。
「……」
裕さん、なんでそんな悲しそうな顔するの…
まさか戻らないつもりとか…?
「俺、李那が裕さんの話してる時の顔が好きなんですよ。
今の李那、全然笑ってないんです。」
「…だからといって、今の李那と今の俺が付き合えるわけがないだろ?」
…?
今の…?
どういう事だ…?
「…今度李那が走れなくなったあの大会があるんだ。
蒼空、頼みがある。」
裕さんが俺を見て泣きそうな顔で懇願する。
「…李那をその大会に連れてきてほしい。
俺の、本当の笑顔を見せるために。」
裕さんの本当の笑顔…?
やっぱり裕さんも心からは笑えてないんだ…
李那じゃないと、裕さんも笑えないんだ。
「…分かりました。必ず李那を連れていきます。」
「頼んだぞ、蒼空。」
俺は裕さんに一礼してジュースを持って李那達の所に戻った。
【更科蒼空side END】
【如月李那side】
…そんなやり取りが自販機で…
「だから李那、大会一緒に行こう?」
「…」
正直、行きたくない。
だってあの大会は…
私が走れなくなった大会でしょ?
「如月さん、古川さん、陸上の大会行くの?」
…出たよ井上世莉香。
「…何?」
「もし行かないなら私が蒼空くんと行くから。」
「…ぶっ…」
思わず吹き出してしまったじゃないか。
「な、何笑ってるのよ!
蒼空くんだって私と行きたいに決まってる!」
「どんだけ自意識過剰なんだよ。いい加減にしろ。」
あ、やば。
思わず素の私が出てしまった。
「さっきから聞いてれば。
蒼空があんたのこと好きだって?
へぇ、そう。…蒼空、あんたどうなの。」
ダメだ、ヤンキー時代の自分が止まらない。
「…俺、好きじゃない。」
「だってよ井上世莉香。
あんた上から目線すぎて周りに嫌われてんのわかんねぇの?」
どうしよ、海澪も蒼空も引いてる。
「何よあんた、殴られたいの?」
「殴れるもんなら殴ってみれば?
知らない?一年前までこの辺ナワバリにしてた一匹狼のヤンキー。」
…私は一年前までこの辺をナワバリにして暴れてた。
暴れてたって言ってもカツアゲしてる所を止めたりして、自分からは喧嘩売っては、いなかった。
「…もしかしてあんた…」
「思ってる答えが“霊狼”ならあってるね。」
最近呼ばれ始めた私の通り名。
裏社会では伝説として語られてるらしい。
急に現れて急に消えたからだと。
「まさか、本物?」
「うん、こう見えて昔けっこう暴れてたから私。」
まあ、奈那姉ちゃんの跡を継いだだけだけどさ。



