「そう?普通だよ?」
「「さっき本買ったでしょ。」」
…バレバレじゃん。
あの本買ったところまでバッチリ見られてたのか。
「李那。何かあるなら話してね?」
「俺にも。大して役に立てねぇと思うけど、面白い話くらいならできる。」
励ましか。
それにしても面白い話って!
元気づけようとしてくれてるんだよね。
「じゃあ夜電話するわ。
面白い話してくれるんでしょ?」
蒼空の面白い話とか聞いたことないから楽しみかも。
「げっ、まじかよ。」
言わなきゃよかったとか思ってるんでしょ?
今更だよねー
「冗談だよ。これからも仲良くしてよね。」
「当たり前だろ?」
蒼空は私を見てニッコリ微笑む。
この笑顔。私好きだな。
「李那、何かあったらいつでも言ってね?」
「ありがとう海澪。」
海澪にも蒼空にも心配ばかりかけている。
…裕くんにも…
裕くんの気持ちはまだ私にあると思う。
知ってるの。
どれほど私を好きなのか。
ここで私がまた裕くんを好きになったりしたら今度こそ吹っ切れない。
忘れるために別れたんだもん、今更…
思い出しちゃダメ。
あの手の温もりも。
あの少し鼻がかかった声も。
笑顔も。全て。
「…っ…」
「李那…」
蒼空が私を見て困った顔をする。
海澪が私をギュッて抱きしめてくれる。
「李那の泣き顔初めて見たよ。」
「俺も。」
…私泣いてるのか。
ーパシャッ
「いつも強気の李那が泣いてるとかレアでしかないんだけど。」
…蒼空くん、君は何を撮っているのかな?
嫌がらせのように私に携帯の画面を見せてくる蒼空。
ニヤニヤ笑ってやがる。
…でも、元気づけようとしてくれてるんだよね。
わかってる。
ありがとう蒼空。海澪。