「海澪、いい時間だし、そろそろ解散にするか?」
秀一が腕時計を見ながら私に声をかける。
同じように私も腕時計を見る。
希望には出かけるって言ってあるし、多分大丈夫。
夕方の5時。
「裕くん。そろそろ解散にする?」
「…もうそんな時間か。そうしよう。」
蒼空と黒田先輩を担いで裕くんは車へ向かう。
とりあえず乗せるともう一度戻ってきた。
「叶夢。帰ろうか。蒼空達送ってくけどいいか?」
「勿論いいよ。蒼空おじさんもお酒で潰れちゃってるしね。」
叶夢の横顔は本当に李那だ。
優しく微笑んでいる。
どうしても李那と被ってしまう。
【古川海澪side END】
【中矢叶夢side】
お母さんが無くなって8年。
僕は1度だって忘れたことは無い。
「…ふぅ。叶夢、手伝ってくれてありがとうな。」
「いいよ。軽く筋トレにもなるし。」
お父さんは全く再婚しない。
男手ひとつで僕をここまで育ててくれた。
家のマンションの和室はお母さんの遺影がある。
…若くて可愛いお母さん。
「お父さん」
「なんだ?」
マンションまでの車の中。
僕はお父さんに話しかけた。
「…僕、お母さんの事あまり知らない。」
「…」
「家に帰ったら教えてよ。」
「うん。いいよ。」
お父さんは少し涙目で運転する。
お母さんの命日と誕生日は知ってるけど、お母さんのことはあまりよく知らない。
…中学生になったんだ。
お母さんのことをもっと知りたい。
「ー…さて、何から知りたい?」
お母さんの遺影の前。
僕とお父さんは遺影の前に座って話す。
「…どんな、人だったの?」
「…そうだなあ…
優しいけど怒る時は怒る人。
曲がったことは許さない芯の強いひとだったよ。」
…遺影を見つめて優しい顔をするお父さん。
「幼馴染でな、昔からずっと一緒だった。
地元の陸上大会で優勝をかっさらっててなあ…」
…お母さんも、陸上部だったんだ…
「叶夢と同じ競技だったんだぞ。」
「…そうなんだ…」
知れば知るほど、お母さんについてのパズルのピースが埋まっていく。
「…お父さんにとって、お母さんはどんな存在だったの…」
「ん?わかり切ってるだろ?
お父さんの大事な大事な運命の人だ。
昔から大好きでな。一時はライバルもいたんだぞ。」
その人をおもっているのかお父さんはくすくす笑う。
「そのライバルっていうのが蒼空だったんだけどな。」
「え、蒼空おじさん?!」
…まさかの。
蒼空おじさんカッコイイもんね。
お父さんと同じくらいかっこいい。
…それでもお母さんはお父さんを選んだんだ…
秀一が腕時計を見ながら私に声をかける。
同じように私も腕時計を見る。
希望には出かけるって言ってあるし、多分大丈夫。
夕方の5時。
「裕くん。そろそろ解散にする?」
「…もうそんな時間か。そうしよう。」
蒼空と黒田先輩を担いで裕くんは車へ向かう。
とりあえず乗せるともう一度戻ってきた。
「叶夢。帰ろうか。蒼空達送ってくけどいいか?」
「勿論いいよ。蒼空おじさんもお酒で潰れちゃってるしね。」
叶夢の横顔は本当に李那だ。
優しく微笑んでいる。
どうしても李那と被ってしまう。
【古川海澪side END】
【中矢叶夢side】
お母さんが無くなって8年。
僕は1度だって忘れたことは無い。
「…ふぅ。叶夢、手伝ってくれてありがとうな。」
「いいよ。軽く筋トレにもなるし。」
お父さんは全く再婚しない。
男手ひとつで僕をここまで育ててくれた。
家のマンションの和室はお母さんの遺影がある。
…若くて可愛いお母さん。
「お父さん」
「なんだ?」
マンションまでの車の中。
僕はお父さんに話しかけた。
「…僕、お母さんの事あまり知らない。」
「…」
「家に帰ったら教えてよ。」
「うん。いいよ。」
お父さんは少し涙目で運転する。
お母さんの命日と誕生日は知ってるけど、お母さんのことはあまりよく知らない。
…中学生になったんだ。
お母さんのことをもっと知りたい。
「ー…さて、何から知りたい?」
お母さんの遺影の前。
僕とお父さんは遺影の前に座って話す。
「…どんな、人だったの?」
「…そうだなあ…
優しいけど怒る時は怒る人。
曲がったことは許さない芯の強いひとだったよ。」
…遺影を見つめて優しい顔をするお父さん。
「幼馴染でな、昔からずっと一緒だった。
地元の陸上大会で優勝をかっさらっててなあ…」
…お母さんも、陸上部だったんだ…
「叶夢と同じ競技だったんだぞ。」
「…そうなんだ…」
知れば知るほど、お母さんについてのパズルのピースが埋まっていく。
「…お父さんにとって、お母さんはどんな存在だったの…」
「ん?わかり切ってるだろ?
お父さんの大事な大事な運命の人だ。
昔から大好きでな。一時はライバルもいたんだぞ。」
その人をおもっているのかお父さんはくすくす笑う。
「そのライバルっていうのが蒼空だったんだけどな。」
「え、蒼空おじさん?!」
…まさかの。
蒼空おじさんカッコイイもんね。
お父さんと同じくらいかっこいい。
…それでもお母さんはお父さんを選んだんだ…



