それでも叶夢に笑顔を見せる裕さんは強い。
…もう、頭の整理はついたのか…
「叶夢、行こうか。」
「どこ??」
「ママの所。」
「いく!!」
無邪気に微笑む叶夢。
その顔はやっぱり李那に似ている。
男の子だけど李那に似ている。
李那は美人顔だったから、叶夢も整った顔をしている。
微笑む叶夢に裕さんは優しく笑う。
「じゃあ行こう。
海澪ちゃん。蒼空。ありがとう。」
時計を見るといつの間にか9時。
そろそろ李那の所に行くんだろう。
叶夢と手を繋いで家を出ていった裕さん。
…叶夢はきっと大泣きするだろう…
【更科蒼空side END】
【中矢裕side】
李那が死んでしまって一日がたった。
叶夢は助手席で鼻歌を歌いながらニコニコしてる。
「ねえ、ママお家じゃないの?」
「うん、ママは病院にいるよ。」
「…そっかあ…ママまた苦しくなったのかなあ…」
叶夢は唇をとんがらせて寂しそうな顔をする。
…ごめんな、ママに会えるなんて嘘だ。
会えるのは会えるけど、もう、…声は聞けない。
ぎゅっと抱きしめてくれる腕もない。
ママの目が叶夢を見ることはもうない。
…それを言うのはもう、泣いたあとでいいや。
「着いたよ。
先に降りてママの所行っておいで。いつものお部屋にいるから。」
「はーい」
叶夢を病院の前で降ろして駐車場へ向かう。
…叶夢が泣き出した時にそばに居られない。
少し急いで車を停め、俺は駆け足で李那のところに向かう。
部屋に近づく。
…叶夢の大泣きする声が聞こえる。
「なんでぇぇえええ…!!
やだああああああああぁぁぁ!!!」
…ごめんな、叶夢…
本当にごめん…
「裕くん…」
中から医者が出てきて俺にしか聞こえない声で話す。
「…如月さんだけど、昨日本当に少しだけ息があったんだ。
亡くなったのは…本当にさっき…」
…うそ、だろ?
そんなのってあるかよ!
「…じゃあまだ…死んだばかり?」
「そういう事だ。行ってあげてくれ。」
俺は叶夢のそばに行って李那を見る。
穏やかな顔をして本当に眠っているだけに見える。
心電図を見てもやっぱり動いていない。
「…李那…」
「ママあ…」
「…産まれてきてくれて、俺と出会ってくれて…
叶夢を産んでくれて…ありがとう…」
李那の手を握る。
ほんの少し、まだ温かい。
冷たいけど、ほんのりと温かい。
「…本当に、ありがとう。
…叶夢の事は…安心出来ないかもしれないけど、俺が、頑張って育てるから…
…っ…」
あーあ…ダメだな。
泣かないって決めたのに…
泣いてしまった。
「…っ…
安らかに…眠ってくれ…っ」
「…ま…まっ…」
叶夢もぎゅっと李那に抱きついている。
「僕も…っいい子にするから…っ
戻ってきて…っ」
…叶夢…
「…もうっ…わがまま言わないから…
パパの言うこと…ちゃんと聞くからあっ…
ママっ…」
そうだよな…
叶夢は李那の言うことをしっかり聞くいいこだもんな。
「…ゆっくり、…寝てね…っ」
叶夢はぐちゃぐちゃの顔をしながらも李那に笑顔を向ける。
穏やかな顔をしながら少し微笑んだように見えたのは俺の思い過ごしだと思う。
如月(中矢)李那。
享年、22歳。
…もう、頭の整理はついたのか…
「叶夢、行こうか。」
「どこ??」
「ママの所。」
「いく!!」
無邪気に微笑む叶夢。
その顔はやっぱり李那に似ている。
男の子だけど李那に似ている。
李那は美人顔だったから、叶夢も整った顔をしている。
微笑む叶夢に裕さんは優しく笑う。
「じゃあ行こう。
海澪ちゃん。蒼空。ありがとう。」
時計を見るといつの間にか9時。
そろそろ李那の所に行くんだろう。
叶夢と手を繋いで家を出ていった裕さん。
…叶夢はきっと大泣きするだろう…
【更科蒼空side END】
【中矢裕side】
李那が死んでしまって一日がたった。
叶夢は助手席で鼻歌を歌いながらニコニコしてる。
「ねえ、ママお家じゃないの?」
「うん、ママは病院にいるよ。」
「…そっかあ…ママまた苦しくなったのかなあ…」
叶夢は唇をとんがらせて寂しそうな顔をする。
…ごめんな、ママに会えるなんて嘘だ。
会えるのは会えるけど、もう、…声は聞けない。
ぎゅっと抱きしめてくれる腕もない。
ママの目が叶夢を見ることはもうない。
…それを言うのはもう、泣いたあとでいいや。
「着いたよ。
先に降りてママの所行っておいで。いつものお部屋にいるから。」
「はーい」
叶夢を病院の前で降ろして駐車場へ向かう。
…叶夢が泣き出した時にそばに居られない。
少し急いで車を停め、俺は駆け足で李那のところに向かう。
部屋に近づく。
…叶夢の大泣きする声が聞こえる。
「なんでぇぇえええ…!!
やだああああああああぁぁぁ!!!」
…ごめんな、叶夢…
本当にごめん…
「裕くん…」
中から医者が出てきて俺にしか聞こえない声で話す。
「…如月さんだけど、昨日本当に少しだけ息があったんだ。
亡くなったのは…本当にさっき…」
…うそ、だろ?
そんなのってあるかよ!
「…じゃあまだ…死んだばかり?」
「そういう事だ。行ってあげてくれ。」
俺は叶夢のそばに行って李那を見る。
穏やかな顔をして本当に眠っているだけに見える。
心電図を見てもやっぱり動いていない。
「…李那…」
「ママあ…」
「…産まれてきてくれて、俺と出会ってくれて…
叶夢を産んでくれて…ありがとう…」
李那の手を握る。
ほんの少し、まだ温かい。
冷たいけど、ほんのりと温かい。
「…本当に、ありがとう。
…叶夢の事は…安心出来ないかもしれないけど、俺が、頑張って育てるから…
…っ…」
あーあ…ダメだな。
泣かないって決めたのに…
泣いてしまった。
「…っ…
安らかに…眠ってくれ…っ」
「…ま…まっ…」
叶夢もぎゅっと李那に抱きついている。
「僕も…っいい子にするから…っ
戻ってきて…っ」
…叶夢…
「…もうっ…わがまま言わないから…
パパの言うこと…ちゃんと聞くからあっ…
ママっ…」
そうだよな…
叶夢は李那の言うことをしっかり聞くいいこだもんな。
「…ゆっくり、…寝てね…っ」
叶夢はぐちゃぐちゃの顔をしながらも李那に笑顔を向ける。
穏やかな顔をしながら少し微笑んだように見えたのは俺の思い過ごしだと思う。
如月(中矢)李那。
享年、22歳。



