【如月李那side】
「お姉ちゃんも、走り回りたくてしょうがないんだよね?」
ードクンッ
「な、何言って…」
「顔が言ってるよ、走りたいって。」
私、そんなに顔に出てたかな…?
ポーカーフェイスには自信あるんだけど…
「妹舐めないで。何年一緒にいると思ってるの。」
「12年」
生まれた時からだから12年でしょ?
「…流石お姉ちゃんだわ、なかなか手強い…」
「私らしいでしょ?」
「うん。…さて風雅、約束だよ?アイス奢ってね?」
まさか今話を振られるとは思ってなかったんだろう。
風雅くんは飲んでいたスポーツドリンクを吹き出してむせていた。
「ゴホッ…ゲホッ…
あー、まあ、約束は約束だしな…」
「やったね!」
美那は嬉しそうにガッツポーズする。
「李那。ここにいたのか。」
「あー、蒼空。探してたの?」
「うん。海澪はトイレ。」
どーでもいい情報をありがとう。
「李那、立てるか?」
「うん。大丈夫…あっ…」
「ほら見ろ、大丈夫じゃねぇじゃん。」
ふらついた私を支えてくれたのは蒼空だった。
裕くんは手が間に合わなかったみたい。
「じゃあ裕くん、次も頑張ってね!選抜の学年対抗リレーでしょ?」
「おう、応援頼むわ。でけー声でな。」
「まかせろっ!」
私は蒼空に支えられて応援席に向かう。
裕くんは心配そうに私をチラチラ見ている。
私はその度に笑顔で応える。
「ほら、ここなら見えるぞ。」
「そうだねー」
私は蒼空としゃがみこもうとしたその時に力が抜けた。
ードサッ
と同時に意識を手放した。
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
やべえ、李那の奴、意識失いやがった。
海澪、海澪どこだよ、どーすりゃいいんだよ。
とりあえず日陰に連れていこう…
俺は李那を抱えて先程までいた場所に連れていった。
体が震えているのが俺にも伝わってくる。
「蒼空?なにしてるの?」
「李那が意識失いやがった、先生呼んできてくれ。」
「分かった。」
李那…
李那、李那、李那…
「如月さん!」
全然が来てくれて李那はすかさず病院に緊急搬送されていった。
「1位は高2チーム!」
その時選抜リレーの発表が聞こえてきた。
「更科!」
「あ、裕さん。」
「李那は?!」
「今病院に…」