それにしても2人とも嬉しいことしか言ってくれないんだから…
「でも中学時代の私って厳しかったでしょ?」
「…俺も…」
中学の時はとにかく練習メニューをクリアすることに専念してて、後輩の面倒なんて見てなかったし…
優しくする余裕なんてなかった気がする…
「李那先輩が厳しくしつけてくれた分、裕先輩が優しかったんですよ。」
「逆に裕先輩が厳しくしつけてくれた分、李那先輩が優しかったです。」
…なんでこんなに嬉しいことばっかり言ってくれるの…
涙出てきちゃうじゃない…
「私達はそれだけ2人を尊敬してるんです。」
にっこりと椿が笑う。
「今でも私たちの目標は先輩達です。」
ふんわりと桜も笑う。
…あんまり似てないって思ってたけど違ったみたい。
普段の顔は違うのに…
笑うと一緒の顔になる。
二卵性双生児らしいからにてない所あるけど…
やっぱり双子なんだなあ…
マジマジと2人の顔を見る。
「先輩、私達は先輩が走れなくなっても、憧れです。」
もう走れないから、2人にとってはただの先輩になるのに。
「大袈裟かもしれないですが、大会で1目見ただけで先輩に憧れました。」
色々な大会に出てた時かな?
走るのが楽しくていろんな大会にでてたから…
いろんな大会で優勝して、あの時は一躍地元のスターだったっけ。
「先輩は私たちの憧れです。
またご指導お願いしますね。」
「…うん。」
「ではこれから予定があるので失礼します。」
桜、椿…
ありがとう。
【如月李那side END】

【中矢裕side】
桜と椿からの驚きの告白。
正直俺も嬉しかった。
2人があんなふうに思ってくれてるなんて考えてもいなかったから。
「李那?」
「…」
下を向いて震えてる李那。
「…最高だね、あのふたり。」
「…うん」
嬉し泣きをしているのを知った俺はあえて見ないふり。
李那は嬉し泣きだろうがなんだろうが隠すから。
見ないふりしておく。
「李那、良かったね!大事に思ってくれてる後輩がいて〜!」
「如月、あれ俺の後輩なんだけど!」
そっか、吉野高校だっけ、2人とも。
柊の後輩じゃん。
…李那に憧れを持ってくれていた…
素直に自分のことみたいに嬉しい。
「…」
李那に優しく微笑む蒼空。
…前から思ってたけど、蒼空、李那に告白したよな…
2回目の。
李那からも蒼空からも何も聞いてないけど、きっとそうだ。
蒼空は李那を見てるだけで優しい顔になるし、李那も李那で蒼空に気を使っているように見える。