難病が教えてくれたこと

俺の中ではやっぱり李那が1番なんだ。
いつも笑顔で。
優しくて。明るくて。
時にはキレるけど、責任感があって。
やるべき事はしっかりやりきる。
困ってたら手を差し伸べてくれて。
悩んだり落ち込んだりしてたら話を聞いてくれて。
背中を押して励ましてくれる。
だめだ。考えれば考えるほど胸が苦しい。
なんでだよ…
なんで、俺じゃないんだよ…
「…くそっ…」
李那、好きだ。
前よりもっと、好きになってしまったよ…
諦めたつもりだったのに…
しばらく会えないだけで寂しくなったりするの、李那だけだ。
他の相手には感じない気持ち。
好きすぎて、苦しいよ。
『ごめんなさい、裕さん。
やっぱり俺李那の事好きです。』
諦めるべきだということは分かってるんだ。
なのに…どうしても無理だ…
裕さんに謝罪のLINEを送る。
既読こそ着いたが返信は来ない。
「…李那…裕さん…ごめん…」
どうしても抑えられないよ。
叶夢に夢中になっていたのは事実だ。
2人が幸せそうで良かったと思ったのも事実だ。
でも、李那が好きだというのも…紛れもない事実だ。
「ごめん…ごめんっ…」
どうしても、好きなんだ。
何度も諦めようとしてた。
何もしても諦められないんだ。
李那が好きすぎて、今更諦めるなんて出来ない。
幸せな2人を引き裂くことももちろんしない…出来ない。
裕さんしか、李那を幸せになんて出来ないんだ。
『蒼空、ごめんな。』
…え?
なんで、謝ってんの…?
謝らなければならないのは俺なのに…
『蒼空、また話そう。』
『はい。』
なんで、裕さんが謝るんだよ…
李那を幸せにしてくれているのは裕さんなのに…
俺なんかに謝ることは何一つとしてないのに…

「ー蒼空…」
昼休み。
俺は渡り廊下で裕さんに声をかけられた。
その顔は真剣そのものだった。
「…今、いいか?」
…ああ、話、か…
「大丈夫です。場所、変えましょうか。」
馴染みのある空き教室に向かう。
人が全く居ない空き教室。
「俺、知らず知らずのうちに蒼空を傷つけてたんだな…李那のことも…」
「いや、寧ろ俺の方が…」
途中まで言って俺は口篭る。
裕さんは今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「前にも言ったけど…俺は蒼空が思ってるような良い奴じゃない…っ」
浮気、の件か…?
その事なら前にも聞いたけど…
「蒼空だけじゃない、李那も傷つけたんだ…」
李那を…?
「どういう、ことですか…?」