難病が教えてくれたこと

ニカッと笑った李那の顔にもう迷いはない。
「生涯かけて、この子を守るよ。」
その目は真剣そのもので慈愛に満ちていた。
「ほら、海澪、叶夢が抱っこしてって。」
「え、できるかな?」
「私でもできるからはい。」
私は屈んで叶夢をそろりと受け取る。
少し目を開けた叶夢。
直ぐに閉じられてしまったけど、李那みたいに少し色素の薄い色をしていた。
「最近少し目、開いてくれるんだ。」
嬉しそうに叶夢を見つめる李那。
男の子でもちゃんと母親の血を継いでるんだもんね…
そりゃ李那に似てるよね…
「…可愛い…」
まつ毛長い…
きっとかっこよくなるね。叶夢。
「叶夢嬉しそう。」
手足をパタパタさせて目を開けている叶夢。
「ぃえー」
「なんか喋った」
私の方向いてなんか話してる。
「…海澪…って呼んだのかな?」
「私の名前よんでくれたの??」
「あー」
「最近ほんとに何喋ってるかわかんないけどなんか喋ってるの。」
李那は机の上にあるコーヒーを1口飲む。
私は叶夢を抱き、ほっぺをぷにぷに。
蒼空は私の近くまで来て叶夢にデレデレ。
「なあなあ李那」
「何さっきから。」
「叶夢可愛い。」
…このやり取りも私と蒼空が来てから何回目?って感じだけど。
「赤ちゃんは可愛いよ。」
李那の声を聞く度に手足をパタパタさせている叶夢が可愛い。
「叶夢〜」
「あー」
李那が呼んでも反応してる…
李那に叶夢を戻すと安心したかのように叶夢はすやすや寝た。
「子ども可愛いなあ…」
「俺との?」
「う、るさい秀一!」
アイス頬張りながら私の顔を覗き込んでくる秀一。
李那と裕くん、蒼空はニヤニヤして私を見る。
「俺との子ども欲しいって聞こえたんだけど?」
「言ってない!」
李那たち3人はさらにニヤニヤ…
…あれ?私、そんなこと言ってないよね?
【古川海澪side END】

【更科蒼空side】
「可愛かったね叶夢。」
「うん、可愛かった。」
何より、李那が幸せそうで良かった。
…裕さんと並んでる姿を見るだけで胸が苦しくなるとか…
俺、全然諦めきれてないじゃん。
女々しすぎる…
「じゃあな。海澪。」
「ん。バイバイ。」
家に帰ると俺は部屋に入る。
風呂を済ませて部屋着を着る。
「蒼空、ご飯だよ。」
「…ごめん、今日お腹痛いからやめとくよ。ごめん。」
…ごめん母さん、せっかく作ってくれたのに…
「ゆっくり休みなさい。」
俺の頭を撫でてくれる母さん。
絵の具の匂いに俺は安心する。
「…はあ…」
李那と裕さんが幸せなら、それでいいとか思ってた。
おもってた…のに…
なんでだろうな…
「…涙…止まんねえ…」
ごめんなさい、裕さん。
俺、全く諦めきれてないです。
李那も、ごめん。
鬱陶しい男で。