「さっき、少しお会いしてお話しましたよ。」
「まじか?!
かっこよかったろあの人。」
…うん、たしかに。
手足長いし、羨ましい限りです。
俺にはない長ーい手足。
高い身長。
整った顔。
あーあ、ほんとに羨ましい限り…
「あの人、腰弱いんだけど、なかなか走るの早いんだよな。俺の憧れ」
裕さんが憧れるくらいなんだから余程凄いんだろうな…
しっかりしてる時限定で。
黒田先輩か…
「呼んだ?」
「うわあっ!?」
にゅっと裕さんの後ろから顔を出す黒田先輩。
裕さんもタイミングよく横にどくもんだから更に驚いてしまった。
「ごめんごめん、中矢、これ。」
黒田先輩は裕さんに紙…を手渡した。
…なんだあれ。
「怪しまなくても今日の練習メニューだ。」
怪しんでなんかいないのに…
黒田先輩はくすくす笑いながら裕さんに言葉を続ける。
「あと李那にも言っとけ。」
「はい?」
「いつでも来いって。走れなくてもあいつは見てるだけでも満足すんだろ。」
裕さんは驚いた顔で黒田先輩を見る。
「えっ…」
やっと出た言葉がまだ驚きの声。
李那は確かに見てるだけでもニコニコするやつだ。
「あ、ありがとう…ございます。李那に、伝えておきます…」
「ん。じゃあな。」
黒田先輩はヒラヒラと手を振ると怠そうな足取りで自分のクラスに帰って行った。
「よし、李那の所行かなきゃ。」
裕さんは自分の教室にダッシュ。
俺も後ろから追いかけて行く。
裕さんに追いついた頃には既にカバンを持っていた。
「そんじゃ。」
裕さんは俺に手を振ると再びダッシュした。
…相変わらず走るの早い…
「あ、蒼空。」
教室からひょこっと海澪が顔を出す。
「どこ行ってたの。トイレ?」
「いや、喋ってた、先輩と。」
「そう。」
先生が来たのを確認して海澪は自分の席に戻る。
…李那の前の席。
俺は李那の隣だ。
ストンと席について横を見る。
…いるわけないのに想像してしまう。
【更科蒼空side END】
【中矢裕side】
「李那!」
「…」
こちらをちらりと見ると李那は再び窓の外を見た。
「…裕くん…」
「ん?」
「悔しいなあ。」
誰に話しかけてる訳でもない。
李那は今、自分に話しかけてるんだ。
「なんで、お姉ちゃん迎えに来てくれなかったんだろうなあ…」
「…」
「…あの時ならお姉ちゃん、来てくれると思ってたのになあ…」
奈那さんは…李那が逝くことを望んでない。
だから何度自殺行為を繰り返していても逝くことが出来ないんだ。
「いっその事…殺して欲しいよ…」
李那は、明るい。
弱音を吐くのは珍しい。
いつも明るくて少し毒舌な李那が弱音を吐くなんて、本当に心が弱ってきているんだ…
「…ねえ、裕くん」
「まじか?!
かっこよかったろあの人。」
…うん、たしかに。
手足長いし、羨ましい限りです。
俺にはない長ーい手足。
高い身長。
整った顔。
あーあ、ほんとに羨ましい限り…
「あの人、腰弱いんだけど、なかなか走るの早いんだよな。俺の憧れ」
裕さんが憧れるくらいなんだから余程凄いんだろうな…
しっかりしてる時限定で。
黒田先輩か…
「呼んだ?」
「うわあっ!?」
にゅっと裕さんの後ろから顔を出す黒田先輩。
裕さんもタイミングよく横にどくもんだから更に驚いてしまった。
「ごめんごめん、中矢、これ。」
黒田先輩は裕さんに紙…を手渡した。
…なんだあれ。
「怪しまなくても今日の練習メニューだ。」
怪しんでなんかいないのに…
黒田先輩はくすくす笑いながら裕さんに言葉を続ける。
「あと李那にも言っとけ。」
「はい?」
「いつでも来いって。走れなくてもあいつは見てるだけでも満足すんだろ。」
裕さんは驚いた顔で黒田先輩を見る。
「えっ…」
やっと出た言葉がまだ驚きの声。
李那は確かに見てるだけでもニコニコするやつだ。
「あ、ありがとう…ございます。李那に、伝えておきます…」
「ん。じゃあな。」
黒田先輩はヒラヒラと手を振ると怠そうな足取りで自分のクラスに帰って行った。
「よし、李那の所行かなきゃ。」
裕さんは自分の教室にダッシュ。
俺も後ろから追いかけて行く。
裕さんに追いついた頃には既にカバンを持っていた。
「そんじゃ。」
裕さんは俺に手を振ると再びダッシュした。
…相変わらず走るの早い…
「あ、蒼空。」
教室からひょこっと海澪が顔を出す。
「どこ行ってたの。トイレ?」
「いや、喋ってた、先輩と。」
「そう。」
先生が来たのを確認して海澪は自分の席に戻る。
…李那の前の席。
俺は李那の隣だ。
ストンと席について横を見る。
…いるわけないのに想像してしまう。
【更科蒼空side END】
【中矢裕side】
「李那!」
「…」
こちらをちらりと見ると李那は再び窓の外を見た。
「…裕くん…」
「ん?」
「悔しいなあ。」
誰に話しかけてる訳でもない。
李那は今、自分に話しかけてるんだ。
「なんで、お姉ちゃん迎えに来てくれなかったんだろうなあ…」
「…」
「…あの時ならお姉ちゃん、来てくれると思ってたのになあ…」
奈那さんは…李那が逝くことを望んでない。
だから何度自殺行為を繰り返していても逝くことが出来ないんだ。
「いっその事…殺して欲しいよ…」
李那は、明るい。
弱音を吐くのは珍しい。
いつも明るくて少し毒舌な李那が弱音を吐くなんて、本当に心が弱ってきているんだ…
「…ねえ、裕くん」