まあ、仕方ないか。
「…分かったよお〜」
「よし、柊とどこまでやったの?」
…やっぱりな。

「ーふーん…」
「え、何?聞いといてその反応。」
一通り話したのになんか不服そう。
…機嫌悪い…?
「なんかやだあ…」
「え?」
「海澪取られちゃった。」
…何?この可愛い生き物…
独占欲みたいだけど、可愛すぎかよ!
「取られてないよ〜私は李那が一番好きだよ〜」
「知ってるもん。」
「知ってたか。」
「知ってるもん。海澪を一番好きなのは私。
柊なんかにあげないもん。認めないもん。」
…もんって…
「あ、この後マイフレンドが来るよ。」
…なんで英語で言ったのこの子…
流石だわ。
「もうすぐ着くはず。」
…ん?
「誰?」
「来ればわかるよ。ふふふっ」
…何だこの意地の悪い笑みは…
沙良とか茉希だとしてもこの笑みの謎が解けない。
んんん…誰だ?
ーピンポーン…
「ほらきた。悪いけど海澪、上げてきてくれる?」
「…?分かった。」
まあ、李那は足動かないから仕方ないよね。
いつもなら裕くんとかがやってるけど今日は居ないから。
しょうがない。
「はーい。」
がちゃりと玄関を開けるとそこには驚きの人物が立っていた。

「「ー…え?」」

なんでこいつがここに居るの?
…え?李那が言ってたマイフレンドって井上?
「…李那さんに来るならおいでって言われたから…」
…間違いじゃないみたいだ。
「そ、か…じゃあどうぞ。
李那から上げてもいいって言われてるから。」
李那さんって。
そうやって呼んでるの…ふふっ
なんか笑える。最高。
「お邪魔します…」
このうちは普通に靴下移動だから。
スリッパはない。
たまに冷たいからうーん…ってなるけど文句はない。うん。
「李那、連れてきたよ。」
「お邪魔します。」
「おお、早いね?世莉香。」
ん?
さっきも思ったけどこの2人って名前で呼び合うような関係だったっけ?
どことなく感じた違和感はこれだったのか。
「いつの間に仲良くなってるのよ2人とも。」
「やだなーに?ヤキモチ?」
ニヤニヤして李那が私を見る。
…別にヤキモチなんかじゃないもん…
ちょっと寂しいかな…って思ったのは事実だけどさ。
畜生、否定出来ない自分が悔しいぞ。
「さぁさぁ、女子3人集まったところで開かれるのはもちろん…」
まさかまた秀一について語らなきゃいけないの?
え、1回喋ったじゃん私?!
井上もゴクリと唾を飲み込んでいる。
「蒼空のことでしょ。」
あ、そこはちゃんと真面目な李那だったわ。
「蒼空のことって?」
「ん?応援は世莉香と海澪と私の3人で行くんだよ?
さっきは世莉香が少し遅れるから先に決めてただけだよ〜」
井上…
まさかこいつが李那と仲良くなるとは思わなかったよ…