「翔くんが生きたいって思えばお医者さんは治してくれるよ。
でも諦めちゃったらいくらお医者さんが頑張ってくれてもしんじゃうかもしれない。」
いつも毒舌で単語単語でしか言わない李那。
その李那がいっぱい喋ってる。
多分自分にも言ってるんだと思う。
自分自身にも言える話だから。
翔くんに、自分を重ねてる。
俺にもわかる。
李那は今、自分自身と話している。
目の前にいるのは確かに翔くんだ。
「…僕、治る?」
「治るって信じてたらお医者さんが治してくれるよ。
私にはわかんないけど、翔くんが生きたいなら手術も成功させてくれるはず。」
「…李那ねーちゃん…」
「翔くん」
…何とか、元気づけてあげたい。
「なあに、裕にい…」
「翔くんが元気になったら、サッカーしよう。」
サッカーなら。
俺でもできる。
昔サッカー教室行ってたから。
今でも多分できるはず。
最悪俺が出来なくても風雅ができる。
「ほんと?!」
それだけの事で、元気になってくれるから。
俺は今からでも特訓しとくよ。
「ほんと。約束。」
久しぶりの、指切り。
「ゆーびきーりげーんまーんうっそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます♪
ゆびきったっ♪」
…約束破ったら針千本飲まされるのか。
おお怖い。
「…男同士の約束だ。」
「うん!」
「私も聞いてたけどね。」
…李那。
存在忘れてた。
李那の膝の上に乗ってる翔くんがにしか目がいかなくて…
もしかして俺も子ども好きなのか?
それも極度な。
「なんか元気出た!
手術頑張らなきゃ!
ありがとうね!李那ねーちゃん!裕にい!」
…何はともあれ、元気になってくれて良かった。
「…さあ裕くん。」
「ん?」
「サッカーの練習してらっしゃい。」
うわ、辛辣…
今日の李那はなかなか辛辣だ。
正直いって、怖い。
笑顔が。
李那の笑顔が怖いと思ったのは今日が初めてかもしれない。
「…男同士の約束は絶対でしょ?」
「…そだな。」
「私からもお願い。」
「は?」
「翔くんのために、お願い」
…頭まで下げられたらするしかねーじゃん。
頭下げなくても練習くらいするっつーの。
「…わかったよ。」
「なんか、ごめん。」
…なんで謝ってるんだよ、李那…
「私が翔くんと仲良くなったばかりに…」
しゃーない。
李那はなんだかんだいって子どもが好きだから。
それが李那のいい所でもあるから。
ちゃんと知ってるから。俺も。
李那のいい所くらい知ってるよ。全部。
笑うと顔がクシャってなるところも。
毒舌だけどやさしいところも。
子どもに優しく周りにもやさしいところも。
「それが李那だから。分かってる。」
「…」
「じゃあ俺、サッカーの練習するから帰るわ。」
「うん。じゃあね。ありがとう」
李那に笑顔を見せて、俺は李那の病室を後にした。
【中矢裕side END】
でも諦めちゃったらいくらお医者さんが頑張ってくれてもしんじゃうかもしれない。」
いつも毒舌で単語単語でしか言わない李那。
その李那がいっぱい喋ってる。
多分自分にも言ってるんだと思う。
自分自身にも言える話だから。
翔くんに、自分を重ねてる。
俺にもわかる。
李那は今、自分自身と話している。
目の前にいるのは確かに翔くんだ。
「…僕、治る?」
「治るって信じてたらお医者さんが治してくれるよ。
私にはわかんないけど、翔くんが生きたいなら手術も成功させてくれるはず。」
「…李那ねーちゃん…」
「翔くん」
…何とか、元気づけてあげたい。
「なあに、裕にい…」
「翔くんが元気になったら、サッカーしよう。」
サッカーなら。
俺でもできる。
昔サッカー教室行ってたから。
今でも多分できるはず。
最悪俺が出来なくても風雅ができる。
「ほんと?!」
それだけの事で、元気になってくれるから。
俺は今からでも特訓しとくよ。
「ほんと。約束。」
久しぶりの、指切り。
「ゆーびきーりげーんまーんうっそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます♪
ゆびきったっ♪」
…約束破ったら針千本飲まされるのか。
おお怖い。
「…男同士の約束だ。」
「うん!」
「私も聞いてたけどね。」
…李那。
存在忘れてた。
李那の膝の上に乗ってる翔くんがにしか目がいかなくて…
もしかして俺も子ども好きなのか?
それも極度な。
「なんか元気出た!
手術頑張らなきゃ!
ありがとうね!李那ねーちゃん!裕にい!」
…何はともあれ、元気になってくれて良かった。
「…さあ裕くん。」
「ん?」
「サッカーの練習してらっしゃい。」
うわ、辛辣…
今日の李那はなかなか辛辣だ。
正直いって、怖い。
笑顔が。
李那の笑顔が怖いと思ったのは今日が初めてかもしれない。
「…男同士の約束は絶対でしょ?」
「…そだな。」
「私からもお願い。」
「は?」
「翔くんのために、お願い」
…頭まで下げられたらするしかねーじゃん。
頭下げなくても練習くらいするっつーの。
「…わかったよ。」
「なんか、ごめん。」
…なんで謝ってるんだよ、李那…
「私が翔くんと仲良くなったばかりに…」
しゃーない。
李那はなんだかんだいって子どもが好きだから。
それが李那のいい所でもあるから。
ちゃんと知ってるから。俺も。
李那のいい所くらい知ってるよ。全部。
笑うと顔がクシャってなるところも。
毒舌だけどやさしいところも。
子どもに優しく周りにもやさしいところも。
「それが李那だから。分かってる。」
「…」
「じゃあ俺、サッカーの練習するから帰るわ。」
「うん。じゃあね。ありがとう」
李那に笑顔を見せて、俺は李那の病室を後にした。
【中矢裕side END】



