前までなんとなくでも掴めてたのに…
「李那、これは?」
「だあー!化学苦手なんだよ!私に聞くんじゃねぇ!」
…あーあ…
爆発しちゃった。
怒るとヤンキー口調になるんだっけ、李那は。
「…李那…?」
「あ、悪い、怒るとこうなる。」
「説明おせーよ!」
沙良もノって突っ込む。
「あー、久しぶりにあえてうれしい…
久しぶりにこんなに笑った…」
「あんまり笑わないもんな最近。」
李那…
元気そうな姿見れただけでかなり嬉しい。
…俺、病気かよってくらい李那のこと好きだな。
「李那。体どう?」
「今のところ平気かな。
何?心配してくれてるの?蒼空の癖に。」
…何気扱い酷くね?
俺がいつも心配しないみてーじゃん。
「李那…」
「何、なにもあげないよ。」
…そんなに物欲しそうな顔してたか?俺…
「とりあえずテスト頑張ってよね。」

「ーそれではようい…初め!」
担当教師の掛け声でクラスのみんながシャーペンで問題をときはじめる。
俺は一呼吸置いて問題に取り掛かった。
…李那と一緒に解いたやつもちゃんと解けた。
チラリと沙良の方をむく。
頭を抱え込んで唸ってる。
問題に目を戻し再び真面目に解く。
…まあ、出来ないのもあるけど。

結果。
結果はかなり良かった。
順位もなかなか上がったし。
「よし、李那のおかげでなかなか順位伸びたぞ。」
横で裕さんもガッツポーズを取っている。
2年生234人。
俺の順位、23位。
裕さんが35位。
前回は確か3桁だった裕さんが…
こんなに上がってくるとは…
「蒼空、今日李那のところ行くけど、くる?」
「…いや、俺今日は…」
確か母さんが早く帰ってきて欲しいって言ってた気がするし。
「すんません、今日は俺、帰ります。」
「そっか、わかった。」
裕さんは優しく笑うと携帯を取り出して順位をパシャリ。
多分李那に送るんだろう。
「よし、送信完了♪」
「やっぱり…」
「何だ、蒼空、お前のも送ったぞ。」
…いつの間に…
「李那が“良かったね”って。」
「…あ、はい。」
李那のどうでも良さそうな顔が浮かぶ。
「じゃあ俺、帰ります。」
俺は裕さんに一言告げると教室に戻った。
「海澪、今日俺、帰るから。」
「さぼり?」
「なわけ。」
海澪はふざけてにまあっと笑うも俺のことを見送ってくれる。
『今から帰る。』
母さんにそう連絡だけして俺は家への道を歩く。
その道はいつもより暗く感じた。
【更科蒼空side END】

【如月李那side】
「…なんてどうでもいいのか。」
裕くんから送られてきた写メール。
蒼空の順位と裕くんの順位が記載されていた。
「李那、体どう?」
お母さんがお見舞いに来てくれた。
「ん、平気。」
お母さんは私の体を拭いてくれる。
「…痩せたわね。」
「え?脂肪ぶよぶよだよ〜?」
「何言ってるのよ…」
お母さんが呆れ返って私を見る。
その目は悲しそうで。
ああ、こんなに迷惑かけちゃってるんだな、と悲しくなってきてしまった。