その後もまゆの状態はよくならない



頻繁に発作が起きるので退院は出来ないって言われてしまう



俺にとってもまゆにとっても絶望的な状態だ



こんな心の余裕がない俺に



看護婦さんとドクターが話している会話を聞いてしまう




それはまもりとまゆのお見舞いに行った時のこと



「1059号室の花沢さんかー」


「はい、小さい頃から元気だったんですが
先天性心神経の進行速度が一気に上がっていますね」


「なるほど、心室細動の時に目が覚めたのは奇跡だったけど
そろそろターミナルを考えた方がいいかもな」




ターミナル?



なんだそれ?



「ターミナルってなんだろうな?
映画の撮影かなんかか?」


軽い気持ちでまもりに言うと


「ばか!」



まもりは思い切り俺に怒鳴る



まもりは肩を震わせて


心にぽっかりと穴を開けることを言う




「ターミナルは、終末期。
亡くなる準備をすることだよ
もうすぐ死んじゃうってこと!」


「……な、なんだよそれ!」


終末期?亡くなる準備?




意味わかんねーよ!



まゆは



まゆは今は状態悪いけど




いつも元気じゃん



「私だって…何も起きて欲しくないよ」



まもりが泣きながら言った