バーバル

おじさんは

あたしの口の煙草を捨て、

革靴の先で火を消した。




そしてそっとあたしにキスをした。





おじさんの口からあたしの口、

体へと煙草の毒が回った。

気持ちいい毒。






おじさんはあたしに極上のキスをした。


唇から溶けてしまうのではないかと思った。




センパイのとは、全然違う。




続きをしたい、

と少し思ったけれど口には出さなかった。


あたしはそのおじさんからもらった煙で、

もうお腹いっぱいになっていたから。






あたしはおじさんとずっとずっとキスをしていた。