【海斗said】

『海斗!私、君にまだ______。』

またこの夢か。
小さい頃から何度も見る夢がある。
風邪を引いた日、嫌な事があった日、失恋した日。人生における上手くいかない日はいつだってこの夢を見た。


この夢に終わりはない。いつも、途中で目が覚める。最後まで聞いてみたいと思い、二度寝をしても絶対にこの夢を見ることはない。


君は一体誰なんだ。
うす暗い空港で、中学生くらいの少女と別れを告げる。
俺はこの少女を知らない。
もっと言えば、この空港すら俺は知らない。


俺はこの夢を心地いいとすら思った。
何故か嫌な事を忘れられる。
信じられない程の安心感を得る。
少女になのか、空港になのか、このシチュエーションになのか。

君ともっと話してみたいな。