私のせいだと言う言い方は気に食わない。
初めてそういうこと。をするようになった時から一回も来なかった時はない。
だからといって彼が桜夜の仕事を手伝ったことはない。
いつも傍観しているだけ。…何がしたいのかさっぱりわからない。
ただ、逆に桜夜は彼の仕事について行ったことはない。へらへらしながらも、私に来る仕事よりも大変な仕事を知らないうちにこなしてると思うと腹立たしい。
持っていたフォークをその顔面に投げつけてあげたいくらい。
「桜夜さん、持ち方がおかしいですよ」
「……」
ぐっと手のひらに力を入れた瞬間。嗜めるように上から落とされた声に、そのまま視線を流せば優夜が真横から新たにお茶をコップに注いでくれる。
前を向けば、
チラリとこっちを横目で見た冬夜が「残念でしたー」とわざとらしい満面の笑みを向けた。
桜夜の腹立たしさが増したことは言うまでもない。
「警備会社の職員が発見し、病院に運ばれましたが死亡が確認ーー」
そこまで聞いて、席を立った。
目の前の男はのんびりとまだ朝食に手をつけている。
「彼も、朝から嫌なものを発見しましたね」
「まぁ、落下したものじゃなかっただけ良かっただろ」
「かもしれませんけど…いい気はしませんしね」
冬夜と優夜で行われる会話は他人事。
「……あ、桜夜」
投げかけられた言葉に振り返れば、視線はまだ、テレビのままの冬夜。
「遅くなるから先に寝とけ」
一言。それは、今日の夜自分の仕事に行く、という報告。
こうやってあからさまに仕事だということは言わない。
こっちが行う仕事内容はすべて把握しているのに。
向こうの仕事内容は一度として教えてもらったことはない。腹立たしい。優夜へと視線を移せば、困ったように頷かれた。
それで悟る。今日は優夜もか。同い年で、この仕事を始めたのが優夜の方がちょっとだけ早かっただけなのに。
どうして優夜はついていけて私はついていけないのだろう。
仕事をしたいとは思わない。
夜だってできるものなら自分の時間でありたいし寝ていたい。
だけど、冬夜がどんな仕事をしているのか、どのようにしているのか、自分だけ知らないのは気に食わない。
持っている力で言えば、優夜よりは自分の方があるはずなのに。
心の中では思っていても、やはりいざとなった時の判断力や頭脳などのトータルで考慮すれば優夜の方が上を行く。
それに、優しい優夜に当たるようにそんなことを言うことはしたくない。
「チェーン付けとくから、外で寝ろバーカ」
ぶつけられない思いは、言葉となり冬夜へと。
「なっ、」
「え、僕もですか?!」
巻き込まれたと言わんばかりの優夜と。
はぁぁぁぁ!?と叫ぶ冬夜の声は、リビングのドアで遮ってやった。
「……眠い」



