心配そうな夕夜にゆっくりと声を落とし、
大迫さんに従い廊下を歩く。
「桜夜、」
「はい」
踏み入れた屋敷の奥。大広間。てっきり長の部屋へ行くと思っていたのだが、上の方での集会に呼ばれたようだ。
ずらっと並ばれた黒を組織化し統一している幹部群の前に座らされる。
「何をしたか分かってるな」
「…はい」
事の重大さが、この広間の空気から桜夜へと伝わってくる。
「今他のものが状況把握に動いてる。院内のことも解析班が教えてくれるだろう」
真っ直ぐに長を見ていれば、厳しい表情がふっと緩む。
「…とにかく無事で良かった」
「長!」
横に控えていた一夜が嗜めるように長を呼ぶ。
それに、長が私から一夜へと視線をやり苦笑する。
「私が怒らなくても冬夜と優夜がこれからみっちり絞るだろう。…あ、お前もか。ほどほどにしてやれよ」
一夜は桜夜を見る。
その顔の向こうには般若が見える。
小さい頃からの冬夜、優夜、桜夜たちの世話役として小煩く時に母親、主に父親役としていろいろと躾けてくれた。
未だに小煩いが、
久しぶりに鬼のような説教をこれから受けるのだと思うと
自分のしたことを考えればしょうがないが気分は沈む。
ここを出れば今すぐにでも。
首根っこを突っ込まれて一夜の部屋にでも連れていかれて何時間も説教をしそうな勢いの一夜から、視線を外し長を見る。
いつもは説教が軽くなるように助けてくれる2人も今日はさすがに一夜側だ。
「長」
「桜夜、」
「はい」
もう一度、名前を呼ばれる。優しい顔の長が穏やかな瞳で桜夜を見つめる。
「…無事で良かった。大事な娘を失うわけにはいかない」
何度となく仲間を失ってきた。
その度にこうして集まり、話し合い。
この場に本人がいることは、まだ良い方だと。
「…とりあえずお前は状況を教えなさい。冬夜…そして優夜」
「はい、」
長の視線が桜夜を飛び越え下手の方へと向けられ、桜夜は振り返る。
桜夜の少し後ろ。襖のすぐ近くに鎮座した冬夜と優夜はまっすぐに長を見ている。
「任務、ご苦労様。成功したと連絡を受けた。もう夜が明ける、抜いた寿命を渡して少し休んでなさい。桜夜を怒るのはその後でも遅くないだろう」
「…はい、」
下がれと案に言われ、
2人は軽く頭を下げ襖を開け大人しく下がっていく。
「さぁ、桜夜」
向直れば、再び真剣な目をした長。



