上手く機関の人間とやりすごせていなければ私は…、
いや、私だけでなく
もしかしたら。
冬夜や夕夜まで捕まっていたのかもしれない。
ゆっくりと事の重大さを思っていれば、
頬に置かれたままの指が、。
今度は労わるようにゆっくりと動く
その手に力が入り、
無理やり視線を合わせるよう上を任されるとかち合う視線。
怪我は手、だけですか?
するりと落ちた夕夜の視線を追いかけるように自分の手へ視線を落とす。
窓を飛び越えた時に接した部分、小指側が血が滲んでいた。
腕は厚手のパーカーが守ってくれていたのだろう。咄嗟に両腕で顔もかばったから痛みもない。
「…いった、」
「ごめんね、見せて」
頬から首、肩、と体のラインに合わせ這わされた手がわき腹に差し掛かった時
体に届いた鋭い痛み。
声をあげ顔を歪めると、夕夜にパーカーを捲られた。じわり、痛みが体を貫く。触られるまで痛みなんて感じなかったのに。
「夕夜」
ぐっと、傷口に力を込められて思わず名前を呼ぶ。
「大丈夫だから、」
「ガラスが刺さった?…それとも銃が掠った?」
「…多分銃だと思う。でも、大丈夫掠ってるだけでそこまで、、、」
夕夜の手の下に滑り込ませるように自分の手で傷口を確認する。
すっと、切り傷のような感触と痛み。そして血の感覚。
あの距離で完全に避けることはやっぱ無理だったのか。
避けれたと思っていたのに。
「すぐに医者を呼びます」
ポケットから携帯を取り出した夕夜が画面をスライドさせる。
、と、
「桜夜さま、夕夜さま」
声がしたのと、障子が開いたのは同時だったら。
険しい顔をした組織の職員が顔を出す。
「…長がお呼びです」
「大迫さん、桜夜さん怪我をして、」
「夕夜」
口を開く夕夜を呼び、立ち上がる。
「こっちが先でしょ。…行きます」
見た手のひらは薄く赫が広がっていて。
ぐっと手のひらを握りしめ歩き出す。
「桜夜、」
「大丈夫。平気」



