「―――逃げれれば、だけど」
にやり、
勝ち誇ったかのように顔を歪める男に嫌悪の感情が桜夜の中に宿った瞬間。
カツン、と隣の音を鳴らし出てきたもう1人の男。桜夜はフードをもう一度深く被りながら、男を見る。外からわずかに照らされてる灯のおかげでこちらは逆光。
フードもありこちらの顔は目視は難しいだろう
「…黒命の者か」
低く、冷たいその声は明らかに黒命を嫌う声で。
「…機関」
の人間か。盾を持った白命がニヤリと笑う。
「そそ。全国全ての病院は白命の建物っていっても過言じゃない。そして白命と機関は強く提携を結んでいるからね。裏切り者の黒命と違って。…それは知ってるでしょ?」
裏切り者の黒命と違って。
自由を求めた我々の祖先と違って。
「…国の奴隷に成り下がった代償に得た物か」
自由と引き換えに自由以外の不自由のない生活を得たもの。
「心強いよ。そりゃ、やられっぱなしだと立場は悪いし、警戒するでしょう。こっちだって経営に悪影響で困るんだから」
「じゃ、あとは黒命専門に頼もうかな」
チラッと男がスーツ姿の機関のオトコを見つめ言うが
オトコはそちらを見ることなく私を睨みつけるように見据えている。
命令がでれば命を消してやる、そういいたげな猛獣のような瞳で。
「あ、僕は力持ってるから命抜かれることないけれど、君気を付けてね、この子まだ調節できないみたいだから、脅しでちょこっと抜かれる、とかないよ。やられた瞬間、死んじゃうから」
思い出したかのように、でもこの場には似合わない楽しげな声で。
殺気をこれでもかというほど漏れだしている男に忠告している。
「…力持ってないんだ」
白命の能力者で機関に組織している人間もいると聞いていたが。
「あ、余計な情報与えちゃった?向こうバンバン吸い取ろうとしてくるから気を付けてね」
「うるさい」
「連れないよねー、本当真面目なんだから」
「…そんな力、持ちたいとも思わない。反吐が出る」
吐き捨てるように桜夜の方を見据えて言う男。
それは桜夜に、黒命に、という訳ではなく。能力者に言っているようだ。
力を持っていると言うだけで生まれた時から蔑まれてきた2人には全く刺さらないが。



