--Reversible--




喫煙を目的とした男がわざわざ公園を横切りこちらの階段から落ちるのは不自然だ。



だとすればあとは病院内の階段しかない。うまい具合抜ければ男が病室へと戻る最中に死んでくれるがそんなうまいこと階段を上ってる最中に命が尽きるようにはできない。


運ぶのも労力を使う。


方法は簡単だ。


男に自分で階段を上らせ、




そこで命を抜き取り落とせばいい。




ぼんやりと、男が再び立ち上がるのを待つ。



「早く吸ってくれよー…眠たい」





「最後の一服なんですから」





長く感じた喫煙時間。ただただ視界の先の人間が立ち上がるのをまつ無とも言える時間。



視界の端で少しだけ身じろぎする冬夜はその間3回くらい腕を掻いた。そして、その掻く音を聞いていると、



虫よけをして万全な筈の優夜までどこかが痒くなった気がしてきた頃。



やっと吸い終わったのか遠くの姿はゆらゆらと。

病院の方へ向かっていく。



「行くか」



「えぇ」



事前に協会から送られてきた資料による監視カメラの位置はお互いとも頭に入っている。



特に冬夜はもうこの病院には何回も嫌と言うほど足を運んでいるから問題ないけど…。



カツン、カツンと階段を登って行く。

監視カメラや警備員、他のスタッフにばれたくないのは



黙って外へ出たこの男も同じなのだろう。



もちろん、自動ドアは夜中施錠していて使用することはできないから非常用階段を使うしかないのだけど。




「夕夜、する?」







さっきしたくないと言ったのに。再度聞かれて、冬夜もできればしたくはないのだろう。

ふぅ、と呆れ気味に息を吐きだし、近い場所の冬夜に言う。



「どっちでもいいですよ」



じゃあ俺抑えるわ。小声で視線を合わせ最終確認を行う。



視線を逸らしたと同時に彼らはなるべく音を立てないように細心の注意を払い一気に対象との距離を縮める。