「私も黒命の仕業だと思っている」
長の瞳に影がさす。黒命の…。
「このまま野放しにはできぬな。組織も宛にならん。白命の信用にかかわる」
「俺は…」
「しばらくは協会からもお前には仕事が来ないだろう。言われた通り、組織について黒命探しをした方がいいかもしれんな」
「そんな、」
どうして自分が。
「同族殺しをしろと?」
黒命を理解できないとは思うけれど。元はと言えば同じ苦しみを持った人間なんだ。お互いがお互いを干渉せずに生きていく。
生き方は違うだけで交わらずに過ごしていく。そういうスタイルでこれまでやってきたはずだ。だからこそ能力者同士で命の奪い合いはできないようになっている。
「…和成。やらなければ、お前が、同じ白命の仲間が、協会にやられるぞ」
静かに。重たい言葉が和成へと突き刺さる。
自分が。
信用を失った長や白命のみんなが。
管理の元で動けないと判断されれば。
和成たちも所詮、黒命と同じ立場になる。
「同族同士で殺し合いはできない。だからこそ、和成、傷をつけられない限り死ぬことはない。このままではいつ協会に処分されてもおかしくない。ここは大人しく組織の元で動いた方がお前の為でも白命のためでもある」
組織は協会に忠実な機関。その管理下で動いた方が、自分を監視してもらった方が命の保証もある。
組織のなんの能力も持たない人間と違い、
自分たちは黒命に直接命を抜き取られることもない。
「しばらくは、大人しくしとくんだ。私はお前を失いたくない」
長に、そこまで言われれば、逆らうことができない。
「…わかりました」
「詳細は追って連絡しよう。頼んだぞ」
そういい、長は車に乗り込んだ。
後続車へと和成たちは乗り込む。くそ…
なんでこんなことに。
「大丈夫ですか?」
不機嫌MAXの和成に恐る恐る話しかけてくる女。
心配しているんだけれど、今はそれも和成をイラつかせる要素にしかなりない。
「は?人の心配してる場合?お前ガチガチに震えてたくせに」
「なっ、」
八つ当たりだけど。吐き捨てるようにいってやれば、
目を見開いた後、視線を泳がして俯いた。
「…絶対に捕まえてやる」



