「完璧じゃん」




おぉ。と声を上げる3人。


持ってる実力もかなりの物だが、運まで味方につけてるとは…


やはり、彼には叶わない。







「はい。ですが、完璧ではないんです」


申し訳なさそうにそういう池田に、三人は首を傾げる。





「一つ。足りてないものがあるんです。当たっているかどうかは分かりませんが…」






「へぇ、何?」





喧嘩を買うように、含んだ笑いを見せる冬夜。池田は一瞬瞳を地面へと伏せ、そしてもう一度まっすぐ冬夜を見つめ…








「愛、に飢えていると出てました」




聞こえた瞬間、


冬夜の瞳が揺らいだのを、優夜は見逃さなかった。



「モテるのに?」




「はい」






「……そっか」




ぽつり。呟いた冬夜はさして気にしてはいないと言う風にフェンスに背中を預ける。





最後が悪かったのか、少し気まずくなってしまった空気。


それを治そうとしたのか、池田が喋る。

「でも、ほとんど完璧のいい運なんですよ。で、とても似ている運の子が僕のクラスにいて…今のところその子と冬夜くんが僕の見た今までの中で一番いい星です」



「へぇー」





似ている運って、やっぱりあるのか…とぼんやり思う。



松本も同じことを思っていたのか納得したように頷いている。



「誰?俺と並ぶ奴」





「お前そこ気にするのかよ」







再び呆れた松本の突込みが飛んでくる。





「どうせなら一番って言われたいじゃん。で、誰?」




完璧と自他共に認めている男に、並べる人間。




もちろんそれは、冬夜だけでなく自分も気になる。




池田は、先輩達が知っているかは分からないんですけど…




と前置きをした後に、小さい声で。



「―――桜夜さん、です」



聞いた名前に、冬夜が一瞬、固まる。





さっきの瞳の揺れと同様、気付いたのは自分だけだろうと思うそんな些細なことだけれど。





「知ってますか?」





「誰だ、それ」





首を傾げたのは松本。

知らなくて当然だろう。




学年も違うし桜夜は目立つようなやつではない。