試合や部活の状況を聞いている冬夜と松本の会話を片耳で聞きながら、池田へと優夜は話しかける。
「占い、にハマっているんですか?」
「あ、はい。最近なんですけど…」
ポケットから出したのはタロットカード。ひょろっとしていて性格的にも大人しく見える彼には悪いけれど、サッカー部よりも占い同好会に入っていると言われた方が似合っていると優夜は思う。
「俺、運が悪いな、と最近思って。ある占い師さんに占ってもらってその通りにしたら少し運気が上がった気がして。それからずっと占いをしているんだ」
そういって嬉しそうに話す池田に、優夜も笑顔で返す。
「それも、何かいいか効果があるんですか?」
池田の腕に着けているパワーストーン。
「あ、はい。健康運が良くなるとかで」
「健康、ですか」
「うん。俺、体が弱くて。毎月病院で検査受けないといけないんだけど、これを付けて病院に行ってから、良くなったんだ。次は半年後で良いって言われて。それでサッカーもできるかなって。挑戦で入ったんだけど…」
そこまでいって、ちらり、と松本を見る池田。
松本は冬夜との会話に集中していて池田には気付いていない。
「正直、運気かサッカーかと言われれば、僕は運気を上げることの方が大事です」
小さい声。優夜にかろうじて聞こえる声で言われたそれに優夜は黙って頷いた。ひとそれぞれ大切なものはある。どれを優先するかも自由だと優夜も思うから。
「…その占い師さん、どこにいるんですか?」
「あ、転々としているみたいだけど、最近は駅前の一本通りを中に入ったところにいることが多いっぽい。特に体調、病が治ると言われて人気らしいよ」
良かったら行ってみて。そう言われて優夜は笑顔でうなずいた。
そのあと、松本にねばられてあしらう冬夜の横で、昼休み中はここにいることに決めた優夜は池田に提案されて占いを受けることになった。
「優夜くんはとても落ち着いた心の持ち主」
「あ、そうなんですか?」
「うん。頭も切れるみたい」
「それは嬉しいです」
褒められて喜ぶ優夜に冬夜の冷静な突込みが入る。
「当たるの?それ」
「友達には結構当たってるって言われてます。他にも名前と生年月日で占えるものがありまして…冬夜さんはすごくいい星を持ってましたよ」
嬉しそうに話す池田。だが――
優夜と冬夜の目には一瞬だけだが鋭さが入る。
もちろん、目の前の池田は気付かないだろうが。
「……」



