--Reversible--



即答。頭を下げたまま頼み続ける松本を眺めながら、優夜は冬夜を見る。


が、弁当に夢中でわざわざ自分に説明してくれそうにない。



松本は頭を下げたままなので、仕方なく初対面と思われるその後ろに困った顔をして立っている人物へと視線を上げる。

試合と行っているから何かの部活だろうが…。




あまり人と必要以上にかかわらない優夜は、松本がどの部活に入っているのか想像できない。


助っ人を頼むということは冬夜が上手なスポーツだろうと考えたが、この人はスポーツは基本全般平均以上にこなすことができる為そこから特定することをあきらめる。



「試合ってなんですか?」





「あ、俺たちサッカー部なんですけど、次の試合、新人戦のシード校を決める試合なんですよ。それで、協力してほしくて…」







そこまで聞いて、なんとなく分かった優夜は冬夜へと視線を向ける。






「いつサッカー部に入部したの」


「や、俺サッカー部じゃないし」





首を傾げる優夜にさらっと答える冬夜。






「部活に入ってないやつの力借りて勝ち上がって何が楽しいんだよ。共に苦しい練習をしてきた仲間と勝ち上がるから意味があるんだろ?」





食べ終わったらしい弁当を重ねながら言う冬夜。



間違ったことは言っていないため松本も苦々しい表情をする。


「ってことで、諦めてくださーい」



「っ待て!」





帰れと促す冬夜に掌を伸ばし制止する松本。

そのまま勢いよく後ろにいる人物を指差す。






「こいつが、占いに目覚めたとかで試合の日、パワースポットに行くって言って試合に来ないんだとよ!だから人数が足りないんだ!頼む!」





頭を下げる松本。


少し離れた回りにいた生徒たちは何事かと傍観している。




はたから見れば冬夜が謝らせているとしか思えない状況。





占い、ですか…

困った顔で立ちすくむその子えと再び視線をあげれば、優夜と目があった子は「池田です」と名乗った。




「先輩に頼めば?俺よりうまいだろ」





「それだと他校からクレームがくるんだよ、不公平だって!部活に属してない一般の生徒が助っ人として入るのは許されるんだ。シードも欲しいが、最低でも試合には絶対に出たい!頼む!」




頭を下げる松本。


涼しい顔をしてそれを見つめる冬夜を横目で見ながら、絶対に冬夜が首を縦に振ることはないだろうと分かっている優夜は弁当を食べ始める。





そして、この松本と冬夜のやりとりはきっと終わらないと思い、池田へと声をかける。





「このままだと昼休み終わっちゃいますよ。座ったらどうですか」



手には彼の昼食だろうパンとお茶の入ったコンビニ袋がぶら下がっている。


おそらく昼食を採る前に松本に引っ張られるようにしてここへ来たのだろう。

松本をこうしたのは彼が原因だが、時間は効率に使った方がいいだろう。






「あ、じゃあ失礼します」






軽く頭を下げた池田は、優夜の隣へと腰を下ろし、パンを食べ始める。