--Reversible--




怖がったりして来れば少しは気持ちよくなれるのに。



伸びをすれば、自然と出るあくび。



一呼吸おいておねーさんが説明を続ける。





「靴まで脱いで飛び降りもせず屋上で自殺なんて明らかにおかしいでしょう」


「だからそれだけで黒命だと…」



「大事な命が一つ奪われたのです。許せません」



「……自殺するつもりだったんなら、良くない?」




「途中で思い直したかもしれません」






「やけに言うな」




「貴方こそ。黒命をなぜ庇うのですか」





黒命にそこまで恨みがあるのか。

無表情で隠した下には、黒命に対する憎悪がチラチラと見える。初めからこっちでからかえば良かったと自然に笑みが浮かぶ。




別に庇ってなどない。



黒命の仕業となると面倒だから違うのではないか、こちらがごちゃごちゃ動く必要はないんじゃないかと言ってるんだ。







機関が追うのは国の管理の元動かない能力者。





そんな能力者は基本、黒命に属している。

世間では黒命が命を奪ったところで罪には問われない。




常に機関から処分するために狙われているから一般人の命を奪ったところでどうこうはない。





ただ、その事件に関係なくても、命を奪う行為を行っていなくても。



黒命だってだけで見つけ次第処分されるかわいそうな存在なんだけれど。



ただでさえスケジュール的に辛いのに。


仕事とは別に、その仕事で動かなければいけないのは本当に辛い。




「分かった分かった。起きるから怒らないで」




無表情で睨みつけてくるその視線が面倒臭くて、上半身だけ起こした。




「今日の仕事は?」



「4人ほど協会から依頼がきてます」





「りょーかい。――百合は?」




「すでに学校に行かれました」


「あっそ」




聞きながら、着替える。




「朝食は、」




「あー、いらない。もう出るから。車回して」




面倒なことはあるけれど、命の保証はあるし。






絶対こっちで動いた方が楽なのになーと思うけど。


ま、会ったことないから言えないしな。